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八村塁、NBA1年目の総括&現地評。
“夢が叶う場所”で得た財産は来季へ。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDavid Dow/NBAE via Getty Images
posted2020/08/24 11:40
目まぐるしく環境が変化するルーキーイヤーを過ごした八村塁。来季への期待が膨らむ活躍を見せた。
3Pはこれからのキャリアに生きる。
「この3試合、スペーシングが少ない中で、どれだけ僕がオフェンスの中でインパクトを与えられるかっていうところをずっと学んできました」
7日、ニューオリンズ・ペリカンズ戦では初戦以来の20得点越えとなる23得点を挙げたあと、八村は自身のマインドセットをそんな風に説明していた。そうやって激しいマークにさらされ続けた後、ややディフェンス力の落ちるペリカンズ戦ではより楽にプレーできるように感じられたのではないか。
また、今季最後の出場ゲームとなった11日のミルウォーキー・バックス戦では、1年を通じて課題とされてきた3ポイントシュート(3P)を実に9本も手に取った。そのうち3本を成功させ、この日は再び20得点を挙げて2019-20シーズンのプレーを締めくくっている。
「コーチにも3Pを打っていけば、どんどん僕のやりたいスペースができてくる。だから3Pを打たなければいけないって言われてきました。相手が3Pを警戒してくればドライブもできます。これからのキャリアで3Pは僕のプレーに生きてくると思うので、しっかり練習していきたいなと思います」
来季に向けて、今季は最高の勉強の場。
こうして振り返ると、オーランドでの短い期間で八村は本当に様々な姿を見せたことがわかってくる。得意とするミドルレンジでボールを託されるエーススコアラー。必要に応じて周囲にボールを供給するプレイメーカー。そして、オープンの際には思い切ってロングジャンパーを放つ3Pシューター……。
ビール、ジョン・ウォールといった主軸が復帰する来季、八村はメインのスコアラー役が任されるわけではない。2大エースを補完するような形で、複数の役割、ポジションをこなすことになるのだろう。だとすれば、オーランドでも毎試合のように得点を重ねるだけより、多彩な経験を積めたことの方により大きな意味があったのかもしれない。ハイレベルのチームが揃ったバブルで試運転できたことは、やはり最高の勉強の場だったように思えてくるのだ。