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八村塁、NBA1年目の総括&現地評。
“夢が叶う場所”で得た財産は来季へ。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDavid Dow/NBAE via Getty Images
posted2020/08/24 11:40
目まぐるしく環境が変化するルーキーイヤーを過ごした八村塁。来季への期待が膨らむ活躍を見せた。
エスケイプも今回ばかりは許される。
「僕も小さい頃からメディアに注目される中でバスケをしてきた人間なので、(プレッシャーは)そんなに気にならなかった。それより、(今季は)NBAのライフスタイル、スケジュールとか、ハイレベルのバスケに慣れることの方を頑張ってきました」
今季最後の質問で周囲からのプレッシャーへの対処について聞くと、八村は事もなげにそんな答えを返してきた。ルーキーとしてはおそらく史上最大級の重圧を背負いながら、なんとも規格外の22歳。それでもこれだけのバトルをようやく終えた後なのだから、今はとにかくゆっくり休んでほしい。おそらく多くのメディア、関係者はそう思っていたはずだから、冒頭で述べた会見のエスケイプも今回ばかりは許される。
日本のパイオニアはオーランドの地で苦しみ、学び、前に進んだ。そして、最後の最後で22歳の若者らしい姿に戻り、バブルから去っていった。たとえ短い滞在でも、“夢が叶う場所(Where dreams come true)”と称されるディズニー・ワールドで八村は貴重な財産を手に入れたはずである。