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増田大輝&和田康士朗の盗塁進化歴。
週刊セパ好成績&珍記録まとめ。
posted2020/08/11 11:50
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
今週は月曜日も試合がある。DeNA、阪神、広島、中日は9連戦の真っただ中で、過酷な夏の日程だ。
【今週の“ぴかイチ選手” 巨人:増田大輝、ロッテ:和田康士朗】
セイバーメトリクスでは「盗塁」は推奨される作戦ではない。成功すればチャンスは広がるが、失敗すれば一瞬で走者はなくなりアウトカウントも増えるからだ。これもあって盗塁は「成功率」が重視されるようになっている。
昔に比べてバッテリーの盗塁阻止技術は向上している。クイックができない投手はほとんどいないし、弱肩の正捕手も見られなくなった。そんな「盗塁のハードルが高い」時代に、足だけで立身出世しようという有望株が出てきた。
巨人・増田大輝は27歳。近畿大を中退し、独立リーグ徳島インディゴソックスから育成で巨人に入って5年目。ロッテ和田康士朗は21歳、これも独立リーグ富山から育成でロッテに入団して3年目である。
独立リーグ出身で育成といえば、ほとんどが支配下登録もされないままに3年ほどで消えていくものだ。しかし2人は「足」だけでそこから這い上がり、スポットライトを浴びようとしている。
緊急登板で話題、増田の盗塁歴。
2人の一軍、二軍の盗塁記録を見ると、彼らの進化が端的にわかる。
<増田大輝>
2016年 二軍
3盗塁3盗塁死 成功率.500
2017年 二軍
5盗塁4盗塁死 成功率.555
2018年 二軍
11盗塁1盗塁死 成功率.917
2019年 一軍
15盗塁2盗塁死 成功率.882
二軍
16盗塁5盗塁死 成功率.762
2020年 一軍
9盗塁2盗塁死 成功率.818
筆者は2014年、独立リーグ徳島時代の増田を見ている。172cmと小柄で塁に出れば走ろうとしていた。当時の徳島の島田直也監督は「とにかく足が速い。化けるかもしれない」と言っていた。
しかし徳島での2年間、増田の打率は.263と.206。それでもスカウトの目に留まって育成で巨人に入ったのだ。スカウトの慧眼おそるべし。
ファームでは当初、よく刺されていた。しかし3年目から見違えるように成功率がアップした。そして、その盗塁の精度は一軍でも通用したのだ。
8月6日の「緊急登板」で増田の名前は全国区になったが、4日には1安打1盗塁をマーク。彼の魅力が「足」であるのは変わらない。