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宝塚記念に揃った8頭のGI馬たち。
勝者が得る「現役最強」への挑戦権。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/06/27 19:00
香港ヴァーズでグローリーヴェイズはラッキーライラックを突き放して見せた。宝塚記念ではどうか。
「牝馬の時代」を象徴するラッキーライラック。
2番人気になるのは、前走の大阪杯で牡馬勢をなぎ倒したラッキーライラック(牝5歳、父オルフェーヴル、栗東・松永幹夫厩舎)か。
3連勝で阪神ジュベナイルフィリーズを制して2歳女王となるも、牝馬三冠ではアーモンドアイに主役を譲った。
が、昨秋のエリザベス女王杯で久々の美酒に酔い、香港ヴァーズ2着を経て、またGIを勝ったあたりはリスグラシューとイメージが重なる。
操縦性がよくなったことでレースに幅が出て、枠やコースやペースによらず力を出せるようになった。「牝馬の時代」を象徴する存在になりつつある。
メジロの夢と執念が宿る1頭。
そのラッキーライラックを昨年の香港ヴァーズで3馬身半突き放し、GI初制覇を遂げたグローリーヴェイズ(牡5歳、父ディープインパクト、美浦・尾関知人厩舎)も、日本を代表する1頭になり得る馬だ。
3代母は史上初の牝馬三冠馬メジロラモーヌ。ラモーヌの父モガミは、メジロ牧場の創設者・北野豊吉が、シンボリ牧場の和田共弘と共同で所有してフランス走らせたのち、種牡馬として輸入した馬だ。
そのラモーヌにメジロライアンを配合して、グローリーヴェイズの2代母メジロルバートが生まれた。ライアンの2代母シェリルも、北野が輸入した馬だ。これにメジロアサマを付けて誕生したメジロティターンと、その産駒メジロマックイーンが天皇賞父仔3代制覇を達成したことはつとに知られている。
このように、グローリーヴェイズの血には、往年の名門オーナーブリーダー・メジロ牧場の夢と執念が注ぎ込まれている。