沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
道悪のクロノジェネシスは最強だ。
宝塚記念を制し、牝馬の時代を宣言。
posted2020/06/29 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
まさに「牝馬の時代」を象徴するグランプリとなった。
上半期の競馬を締めくくる第61回宝塚記念(6月28日、阪神芝内回り2200m、3歳以上GI)には、レース史上最多の8頭のGIホースが集結。このドリームレースを、北村友一が騎乗したクロノジェネシス(牝4歳、父バゴ、栗東・斉藤崇史厩舎)が、レース史上最大の6馬身差で圧勝。昨年の秋華賞につづくGI2勝目を挙げた。
いったんは良馬場に回復した阪神の芝コースは、直前の雨でまた稍重になった。
そんななかクロノジェネシスは、ゲートからゴールまで、完璧な立ち回りを見せた。
速いスタートを切って、外目の16番枠から出たなりに進み、スムーズに好位勢の後ろにつけて1コーナーに入った。
「馬場とか周りの馬のことは気にせず、自分の馬だけを信じて乗ればいいと思っていました。スタートが決まったことが大きかったです。折り合える位置でリズムよく運ぶことができ、終始手応えよく回ってこられました」と北村。
「馬が強くて自然に上がっていった」
向正面に入っても先頭から6、7馬身離れた7、8番手で折り合っている。
3コーナーで、斜め後ろから武豊のキセキが進出してくると、それに馬体を併せられる前に自らも動き出した。
「ゴーサインを出したというより、馬が強くて、自然に上がっていった感じでした。この手応えで、この直線なら絶対に伸びてくれると思っていました」
北村がそう話したように、余裕たっぷりの手応えで外から先行馬に並びかけ、直線へ。
クロノジェネシスの内で馬体を併せていた、先輩牝馬のラッキーライラックが、一瞬先頭に立った。しかし、ラッキーライラックが激しく追われていたのに対し、クロノジェネシスはほぼ持ったままだった。