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コロナ共生時代にスポーツを楽しむ
ために──。免疫を上げる漢方とは?
text by
大場真代Mayo Oba
photograph byBungeishunju
posted2020/06/04 07:00
漢方薬は様々な生薬から作られる(写真は本文とは関係ありません)。
疲労が溜まっている人に適している漢方薬とは?
これに加えて、薬用人参や西洋人参、冬虫夏草(とうちゅうかそう)、霊芝(れいし)などをプラスしてもいいと渡辺医師は言います。
「補中益気湯は、体力が落ちていたり、疲労が溜まっている人に適しています。生脈散は、体力がなく、胃腸が弱くて汗をよくかくような人に向いています。
また、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)なども気を補う漢方薬ですので、身体が弱っているときなどに服用しておくと免疫力が下がるのを防いでくれます。
ただし、現在の保険診療では、残念ながら予防としての投与が認められていません。漢方に詳しい薬局で服薬上の注意を聞きながらOTC(一般用医薬品)を上手に使うといいでしょう」
漢方の概念に、扶正去邪(ふせいきょじゃ)という言葉があります。「扶正」は身体を守る力を高めること、「去邪」はウイルスなどの敵を撃退することをいいます。
予防として用いる漢方薬は、「扶正」の役割を果たしてくれるものです。もし、発熱があった場合は、すぐに葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)を服用すると、熱を下げるのを助けてくれます。
「中国の(武漢市がある)湖北省で新型コロナウイルスの治療にあたった伝統医療の医師は4900人余りいるのですが、彼らはそれぞれ自分にあった漢方薬を服用していたため、1人も感染者が出なかったといいます。
新型コロナウイルスは、急激に悪化することもあるため、日頃からの『扶正』が大切です。漢方を上手く活用し、ウイルスに負けない身体を作っていきましょう」(渡辺医師)
※参考
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割」
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426
漢方産業化推進研究会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する未病漢方活用法」
https://kampo-promotion.jp/topics/2020/05/20200507152140.html