生野菜よりは温野菜にする。

　ではどうやって生体防御システムを強化しておけばいいのでしょうか。

　筆者は普段、医療に関することを主に取材していますが、「漢方」にひとつのヒントがあるのではないかと思っています。

　漢方医学の世界では、日々の「養生」が何より大切だとされています。

　養生とは、日々の生活習慣を見直すことで、健康を維持しようという考え方のことです。

「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に対する漢方の役割」という4月に発表された国際共同研究による論文の第一執筆者、横浜薬科大学特別招聘教授の渡辺賢治医師は養生に対してこう解説します。

「正しい食事や適度な運動、十分な休養、そして、冷えを防ぐこと、ストレスを溜めないが大切です。漢方では、特に内臓の冷えを嫌います。

　これからの時期、暑くなってくると冷たいものを飲んでしまいがちですが、なるべく控えめに。暴飲暴食は避け、生野菜よりは温野菜、また生姜や根菜などを摂るようにするといいでしょう。

　熱中症には気をつけながら、下半身は冷やさないようにします」

予防の段階から用いることができる。

　また、生体防御システムを強化するために漢方薬を用いるという方法もあります。

　一般的に薬は病気になってから用いるものですが、漢方薬は「未病」といって、病気になる前の予防の段階から用いることができます。

「生体防御機能がしっかりしていれば、たとえウイルスが侵入したとしても、ウイルスが増殖しないように抑制することができます。漢方ではこれを『気を充実させる』ともいいます」（渡辺医師）

　基礎疾患のない人に対して、渡辺医師がおすすめする漢方薬は、補中益気湯（ほちゅうえっきとう）や生脈散（しょうみゃくさん）だそうです。

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