オリンピック名著探訪 「五輪の書」を読むBACK NUMBER

『栄光と狂気。オリンピックに憑かれた男たち。』
名ジャーナリストが五輪を材に
若き情熱の発露を描く。 

text by

後藤正治

後藤正治Masaharu Goto

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posted2020/06/03 07:30

『栄光と狂気。オリンピックに憑かれた男たち。』名ジャーナリストが五輪を材に若き情熱の発露を描く。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『栄光と狂気。オリンピックに憑かれた男たち。』デイビッド・ハルバースタム 土屋政雄訳 TBSブリタニカ 1987年刊 絶版

 デイビッド・ハルバースタムの代表作は、ホワイトハウス(ベトナム戦争)、メディア、朝鮮戦争……を描いた著であろうが、スポーツの分野を扱った作品もいくつかある。本書もそのひとつで、1984(昭和59)年ロサンゼルス五輪を目指して競う漕艇界の若き群像を描き出している。

 彼らの多くは恵まれた環境に育ち、ハーバード、イェールなど東部の名門大学でボート(エイト)に親しんだ。卒業後もボートへの思い断ち難く、スカルのシングル・ダブル部門に転身し、オリンピック出場を目指していく。

 本書の原題はThe Amateurs。TVメディアに映えるスポーツはいち早くプロ化への道を歩むが、ボートは商業化に馴染まず、ある種古典的な、「密封された世界」であり続けた。

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