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MLBが再開へ向けた「見切り発車」。
リーグの形を変える大胆な決断。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2020/05/03 11:40

MLBが再開へ向けた「見切り発車」。リーグの形を変える大胆な決断。<Number Web> photograph by AFLO

ルールもリーグも、理由があれば躊躇なく大胆に変更する。その柔軟さがMLBの魅力の1つだろう。

1リーグ5地区、という方法も?

 選手たちは遠征先では外出自粛となるだろうし、精神的なストレスは少なからずあるだろう。しかしホテルに来るファンやサイン売買のコレクターとの接触を規制できれば、「1リーグ3地区制」はとても有効に思える。

 もちろんアメリカは、西へ行けば行くほど州間の移動距離が増えるので、北西部にポツンとあるシアトルや、ロッキー山脈の中にあるコロラドなどの遠征には「同都市対決」や「隣接都市対決」よりも長い移動時間が待っている。

 それは南部のアトランタや、フロリダを拠点とするマイアミ、タンパなどへの遠征も同じで、そのリスクを重視するならば「1リーグ3地区制」ではなく、思い切って「1リーグ5地区制」にするしかない(4地区だと球団数が合わなくなって交流戦の必要性が生じる)。たとえば、こんな分け方になる。

 東地区6球団 レッドソックス、ヤンキース、メッツ、フィリーズ、オリオールズ、ナショナルズ

 北地区6球団 ブルージェイズ、タイガース、インディアンス、レッズ、パイレーツ、ツインズ

 中地区6球団 ブルワーズ、カブス、ホワイトソックス、カージナルス、ロイヤルズ、ブレーブス

 南地区6球団 マーリンズ、レイズ、ロッキーズ、ダイヤモンドバックス、レンジャーズ、アストロズ、

 西地区6球団 マリナーズ、ジャイアンツ、アスレチックス、ドジャース、エンゼルス、パドレス

「常に新しいアイディアを出している」

 単純に「公平な移動距離」を前提とすれば、ブルワーズとツインズは入れ替えるべきだろうが、前述のようにシカゴとブルワーズの本拠地ミルウォーキーの位置関係を考えれば、それだけで3球団にメリットがある。

 しかも、これなら本来は西海岸と2時間も時差がある中部時間ゾーンに本拠地を置くテキサス州の2球団(レンジャーズとアストロズ)が、アリゾナ遠征以外は時差1時間圏内に留まれる移動時間の短縮メリットがある。同時に西地区の各球団にとっても、「テキサス遠征」がなくなるだけで遠征の負担はかなり少なくなる。

 もちろん、これはあくまで空想の世界に過ぎない。だが、前出の米報道では「様々なケースを想定して、常に新しいアイディアを出している」そうなので、もしかしたら、表に出ていないだけで、すでに協議されているかも知れない。

【次ページ】 「進む力」こそがアメリカの本質。

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クレイトン・カーショウ

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