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モンベルが不織布で防護服を縫製。
辰野会長「2300セットつくります」
text by
千葉弓子Yumiko Chiba
photograph byMontbell
posted2020/04/28 18:00
医療用の防護服をミシンで製作する、アウトドアメーカー・モンベルの辰野勇会長。
阪神淡路大震災で生まれた「アウトドア義援隊」。
実はモンベルが災害支援をするのは今回が初めてではない。
1995年、阪神淡路大震災で被災地を支援するために結成したのが「アウトドア義援隊」だ。
辰野は地震直後に現場に駆けつけ、瓦礫の撤去や物資の支援などを行った。この時の経験から、災害現場ではアウトドアの用具やスキルが非常に役に立つことを痛感したという。
その後、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、昨年の台風19号による千曲川の氾濫などでも現地入りし、テントや雨具などのアウトドア用品を提供したり、社員や有志を募って瓦礫や土砂の撤去などを行ってきた。
「今回は一体どんな支援ができるのだろうかと考えていたところに、病院から相談をいただいて、自分たちに何ができるか気づいたんです。震災も原発事故も本当に厳しい状況だったけれど、それらは地域が限定されていた。でも今回は世界中が苦境に立たされていて、人類すべてが被災者。助けたい気持ちがあっても、自分の身を守ることだって大変なくらい。これからもっと厳しい状況になると思うけれど、我々ができることをやっていくしかないね」
無償提供でフェイスシールドを作る準備も。
今回製作した防護服が現場で役立つようなら、ストックしてあるテントや雨具などの素材を使って、同じデザインで追加製造することも考えている。中国の協力工場でもタイベック製防護服約3万セットの製造が決まった。
さらに、台湾の工場ではフェイスシールド8000個を製造する準備も整えた。こうした医療現場への物資はすべて無償提供だ。
「コロナ禍は長丁場になると思うんですよ。急ぎで必要なものを用意することも大事なんだけれど、もっと長い目で見て、本当に役立つものをつくらなければいけないと思っているんです。慌ててつくって使い勝手が悪かったら、現場を混乱させてしまうからね」
まもなく、冒頭に上げた速乾性機能素材のマスク販売がオンラインショップで始まる。