話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
5月9日のJ再開が難しければ大胆に。
4カ月間ショートリーグ制の提案。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2020/04/02 18:00
J1は第1節を消化した時点で中断となっている。ルヴァン杯や天皇杯、ACLなども踏まえて日程を勘案する必要性がある。
出場試合数に応じてボーナス報酬も。
そしてJリーグの理念強化配分金は今季に限って、均等配分金と合わせて一律で均等分配する。J1で7位、J2の3位、J3では2位までに与えられる賞金は優勝チームのみに限定すればいい。配分金で差別化ができないので、優勝チームにはプラスアルファをつけるべきだろう。
J2やJ3のなかには度重なる延期が続くと財政的な問題が生じ、経営が追い込まれるところも出てくるだろう。純資産を始め、スポンサー収入が少なく、ホームゲームの入場料収入から運営経費を捻出する形で予算を組んでいるクラブが多いからだ。
だが、今季についてはJリーグが財政的な状態を把握し、新型コロナウイルスの影響で財政基盤が揺らぐクラブに対してはJリーグ公式試合安定開催基金(10億円)を適用するなど臨機応変に対応し、財政破綻から救済する処置を講じればいいのではないか。
選手は勝利給が減り、ルヴァンカップ、天皇杯の優勝から得る特別報酬を得られない可能性が出てくる。どうフォローするか検討すべき課題だが、例えば均等分配金のなかから出場試合数に応じてボーナス報酬を出すなど考えていく必要があるだろう。
新型コロナウイルスの蔓延による長期延期は前例のないことゆえ、今後はあらゆることに前例のない処置が求められることになる。
コロナ後の世界も考えないと。
そして、もうひとつ考えなければならないのは、新型コロナウイルスが終わった後の世界だ。
選手の生活とクラブ経営をどう守っていくのか等々、経済的支援の在り方。ファンへの直接的なアプローチだけではなく、ネット環境を活かした動画を含むファンサービスの提供。安全で快適なスタジアム環境やファンの満足度を高める取り組みなど、今年は考え、来年から着手できる策があるはずだ。
仮に9月からのスタートになればサッカー界にとっては、これまで何度も議題に上がりながら、うやむやになった秋冬制の試験シーズンになる。秋からのオペレーションがどうなるのか、ファンの反応、選手のパフォーマンスなど、しっかりデータを集めて今後、秋冬制を検討する際の材料にすればいい。
日本サッカー界の未来を考えれば、こんな事態だからこそやれること、挑戦すべきことは多々ある。この未曾有の危機をどう次に活かすのか。クラブは足を止めずに考え、Jリーグは引き続き素早い決断を下し、未来のある施策を打ち出してほしいと思う。