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遠藤航は監督の狙いを遂行する。
昇格に必須の「静かなリーダー」。
posted2020/03/25 07:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
監督が代わってもチーム内における重要さが変わらないというのは、選手として本物の証の1つではないだろうか。例えば、シュツットガルトの遠藤航のように。
チームは中断期の冬休みにティム・ワルター監督を「チームに成長が見られない」との理由で解任し、新しくペジェグリーノ・マタラッツォを迎え入れる決断をした。
指揮官が代わればカードはシャッフルされ、やり方や求められる役割が変わるところも出てくる。主軸だった選手がポジションを失いベンチで焦燥に暮れるなんていう話は、プロスポーツの世界では珍しくない。
そんななか、遠藤は新監督の下でも中心人物として確かな評価を受けている。
マタラッツォになってからの全7試合フル出場中。サッカー専門誌『キッカー』で平均2.78(1が最高で6が最低)と、地元紙からの採点も高い。
監督の狙いを表現できる選手として。
遠藤は、新監督を次のように分析してくれた。
「戦術の幅は広がったかと思います。前監督は、どちらかと言うと自分の形をしっかり作っていきながら実行していくタイプでしたが、今の監督はある程度いろんなオプションを持ちながら、相手に合わせてどう戦っていくかを判断していくようなタイプ。
どっちがいいとか悪いとかではなく、今は毎試合、監督の狙いとする形を選手が表現できています。監督の狙いを表現できる選手が揃っている部分もあると思いますが、うまくいっているのかなと思います」
監督の狙いを表現できる選手。確かに、新監督を迎えたシュツットガルトはピッチ上の意思疎通がうまくいっている。選手全員が納得して、関与し合いながらプレーできている印象がうかがえるし、遠藤もまさに“そのための選手”として活躍している。
アンカーだけでなく、センターバックとして起用される試合もある。どこで使われてもミスが少なく、チームが求めるプレーを体現できている。首脳陣は、その点を非常に高く評価している。