欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ルーニー“帰還”でマンUサポ歓喜。
「白いペレ」に捧げた温かな曲。
posted2020/03/25 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
髪は決して多くなく、ずんぐりむっくりした身体つき。イケメンではないものの、可愛らしく、グリーンがかった茶色い瞳がとても印象的だった。
ウェイン・ルーニーの第一印象である。ゆるやかにウェーブがかかった長髪を風になびかせるわけではなく、スラリともしていない。スター候補生にはほど遠い印象だった。あくまでもイングランドの兄ちゃん。しかもケンカが好きっぽい。プロフィールを紐解くと「叔父はボクサー」。なるほど、血は争えないというわけか。
もっとも、プロのアスリートは男女を問わず好戦的だ。プライベートでは穏やかでも、基本的には負けることが大嫌いだ。負けてもヘラヘラしているようなヤツらは一般大衆の支持を得られない。
ヨハン・クライフ、ミシェル・プラティニ、ディエゴ・マラドーナ、ロマーリオなどなど。後世に名を残すビッグネームは勝利のためなら乱闘も辞さない覚悟で試合に臨んでいた。
加入直後からギグスらをガチ削り。
ルーニーも同類で、練習中から本気モード全開。エバートンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した2004年の夏には、ポール・スコールズ、ライアン・ギグス、リオ・ファーディナンドといった主力にもいっさい遠慮せず、ガチで削りにいったという。まるで“暴れ馬”だ。
「暴れ馬を乗りこなすコツは落ち着かせ、エネルギーを無駄に使わせないに限る。そしていざとなったら、その才能を一気に解き放してやればいい」
競馬を愛し、馬主でもあるサー・アレックス・ファーガソンが述懐している。
「どのポジションでも超一流になっていただろう。仮にキーパーでもね。練習中に信じられないようなセーブを見せるんだ。クロスには弱かったよ」
ファーガソンは“名ジョッキー”として、暴れ馬ルーニーの手綱を見事にさばいた。