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<直撃インタビュー>
“南場ママ”が明かす満員御礼の思考法。
posted2020/03/19 15:00
text by
西澤千央Chihiro Nishizawa
photograph by
Ichisei Hiramatsu
「私もファンの一人なんですよ」
開口一番、オーナーの南場智子はこう言った。
「周りの状況が許せば、ずっと応援歌を歌ってます。叫んでいる姿を目撃されてツイートされ、広報担当から怒られたり(笑)。試合を見ていると我慢できなくて、没入してしまうファンなんですよ、本当に」
そんなオーナーをファンは親しみを込めて「南場ママ」と呼ぶ。「えーホント? 南場バアって言ってない?」とカラカラ笑った。明るい。DeNAの創業者であり会長であり、ベイスターズのオーナーだという事実を忘れてしまいそうになる。
「オーナーとしての仕事は大きな人事と大きな予算を決めることくらい。だからこそ、みんなの頑張りをとにかく心に刻み、目に焼き付けることが自分の一番の役目だと思っています。何か大きな課題があったときは聞きますが、全て自主的に解決できる組織になっていますので」
買収当初、ファンからDeNAに向けられた視線は決してあたたかいものではなかった。大洋時代からファンだった私もそうだ。大好きなベイスターズがわけのわからない会社のものになってしまう。こんな、瀕死でややこしい球団を買ってどうするつもり? メリットがわからないから余計に不安と反発が増した。
「私はこの業界ではルーキーですが、ルーキーながら思っていたことがあって。球団を持つ理由が『社会貢献』であるとして、本当に社会貢献をしたいのであれば、球団運営そのものが事業として成り立つ状況にしなければならない。そうでなければ親会社の浮沈により、スポーツに影響を与えてしまうわけです。たとえばどこかに譲渡する、あるいは選手の年俸を削らないといけないとか。でも、親会社の業績に左右されるほどスポーツは小さな存在ではないですよね。スポーツは堂々とそれだけで成り立つ、魅力のあるコンテンツです。その中でも最大のプロ野球ですから」