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2020年最初のGIにかかる「偉業」。
モズアスコットとインティの決着は。
posted2020/02/22 19:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
史上5頭目の「芝・ダートGI優勝馬」が誕生するのか。それとも、レース史上2頭目の連覇が達成されるのか。
第37回フェブラリーステークス(2月23日、東京ダート1600m、4歳以上GI)は、偉業達成がかかる「2強」による争いと見られている。
イーグルカフェ、クロフネ、アグネスデジタル、アドマイヤドンにつづく、JRA史上5頭目の芝・ダートGI優勝を狙うのは、一昨年の安田記念を連闘で制したモズアスコット(牡6歳、父フランケル、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
前走、キャリア20戦目で初のダート戦となった根岸ステークス(2月2日、東京ダート1400m、4歳以上GIII)を、出遅れながらも圧勝。前述の安田記念以来、約1年8カ月ぶりの勝利を挙げたと同時に、高いダート適性を見せつけた。
父フランケルは、自身、イギリスの芝で14戦全勝という成績をおさめ、産駒の多くがヨーロッパの芝で活躍している。
しかし、モズアスコットはダート王国アメリカの生産馬だ。母インディアは15戦6勝で、その6勝には米ダートGIIのコティリオンBCH、GIIIのアゼリBCSがあるように、ダートで強さを発揮した。その父ヘネシーは米ダートGIホープフルステークスなどを制した名馬である。つまり、母系はバリバリのダート血統なのだ。
調教師と騎手が感じたダート適性。
管理する矢作芳人調教師がダートを使うことを決めた理由のひとつは、普段の脚さばきや動きがダートに向いているのではないかと感じたこと。2つ目が、ここに記したような血統的な背景。3つ目が、馬が成長してパワー型に変わってきたことだという。
主戦騎手のクリストフ・ルメールも、今のモズアスコットには、軽い芝で一気にペースアップするような競馬は向かないとコメントしている。
調教師も騎手も、長くいい脚を使えることがこの馬の最大の武器だと認識しており、その意味では矢作調教師が話しているように「満を持してのダート参戦」だったのだ。