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アルディージャが纏い始めた地域色。
アカデミー出身の10番、埼玉出身者。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/02/14 11:30
残留ラインをコントロールするという大宮の伝説は終わりを告げたが、次なる強烈な個性を身に着けつつある。
チームの前後に外国人選手を獲得。
得点力アップをはかり、守備力をさらに高める具体策として、外国人選手を入れ替えた。高木監督が長崎から連れてきたFWフアンマ・デルガドと攻撃的MFダビッド・バブンスキーとの契約を更新せず、3人の外国人選手を新たに獲得した。
GKフィリップ・クリャイッチ、DFヴィターリス・マクシメンコ、FWネルミン・ハスキッチである。
クリャイッチはクラブ初の外国人GKだ。外国人枠のひとつをGKに充てるのは、いまやJ2でも主流となりつつある。
レフティーのマクシメンコは、CBとサイドバックでプレーできる。高木監督はこれまでの3バックをベースに4バックの併用も明言しており、左サイドを中心に複数ポジションをこなせる29歳の加入は、戦術の幅を広げていきそうだ。
ハスキッチは'18-'19シーズンのセルビアリーグ得点王である。自身がストロングポイントと話す空中戦に加え、高木監督は「スピードもあるし、スペースへのランニングのようなオフザボールの動きもしっかりできる」と評価している。
クリャイッチはセルビアの、マクシメンコはラトビアの、ハスキッチはボスニア・ヘルツェゴビナの代表経験を持つ。マクシメンコは現役の代表選手だ。
東ヨーロッパ系の選手で外国人枠を固めることになったのは、'14年夏から3年間在籍したドラガン・ムルジャとのコネクションを生かしたものである。現役引退後に代理人となったOBが、実力派の3人を古巣に送り込んできた。
29人中12人がアカデミー出身。
だからといって、即戦力の外国人選手にクラブの命運を預けるわけではない。今シーズンの大宮の編成でむしろ目を引くのは、アカデミー出身選手の増加である。29人のうち12人が、育成年代にオレンジのユニフォームを着た選手たちなのだ。
12人という数字が、Jリーグ全体で飛び抜けているわけではない。アカデミーの人材育成に優れる東京ヴェルディやガンバ大阪などに比べれば、まだ少しボリュームは劣る。
それでも、1999年のJ2リーグ発足から国内のトップカテゴリーに参入したクラブのなかでは、なかなかの数字と言っていいはずだ。他クラブへ期限付き移籍中の4選手も、アカデミー出身である。