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「フツーの人」として過ごす沖縄で、
エディーさんが語った「次の準備」。 

text by

朴鐘泰

朴鐘泰Park Jong Tae

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/12/28 09:00

「フツーの人」として過ごす沖縄で、エディーさんが語った「次の準備」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

イングランド代表との契約は2021年まで。11月にはサントリーサンゴリアスのディレクターオブラグビーにも就任した。

2003年の決勝と、2019年の決勝。

 まず、今大会で大躍進を遂げた“古巣”のジャパンについて、エディーさんは手放しで絶賛した。

「地元開催のW杯で結果を残さなければならないという重圧のもと、選手たちは全身全霊を捧げて戦っていた。だからこそ、世界中から高い評価を得たのでしょう。プール戦では、'18年に誰もが世界で一番強いと認めたアイルランドを見事に料理した。あれだけ完璧な調理法は滅多にお目にかかれません」

 そして2003年の決勝を引き合いに、今年の決勝の話を向けると、エディーさんはいつものように右眉を少し吊り上げながらこう言った。

「あの決勝(2003年)の時は、私も若かった。負けた後、言い訳ばかりを考えて、負けを受け入れることができず、傷が癒されるまでに長い時間を必要としました。しかし、今回は年齢を重ねたことで、次への準備へと気持ちが向かっています。決勝(南アフリカ戦)が行われたあの日、シンプルに強いチームの方が勝った。それだけのことですよ」

来年7月、日本とイングランドは戦う。

 エディーさんのいう「次の準備」とは、来年7月に控えた日本遠征になる。同月4日に大分で、11日に神戸で2試合を戦う。

 ただし、イングランドは来年7月の遠征に「フルメンバー」では臨まない。2019年シーズンに代表と所属クラブで20試合以上プレーした選手は招集できない規定があるという。このルールが設定された背景について、エディーさんはこう説明する。

「外から見ると、イングランドのラグビー界は資金、人材ともに潤沢です。ところが、W杯では一度しか勝ってない。つまり、どこかに問題がある。実際に代表とクラブ、クラブと協会、協会とワールドラグビーには様々な軋轢があり、政治的な世界なのです」

 聞くからに「ややこしそう」な話だが、振り返れば、エディーさんは目の前の課題に全力で取り組み、それを解決に導く術を知るリーダーだ。

 果たして数多くのハードルを乗り越えて、イングランドをどのようなチームに仕上げてくるのか。ジェイミー・ジャパン対エディー・イングランド。2018年11月のロンドン・トゥイッケナムに続く新旧日本代表指揮官対決第2ラウンドが、今から楽しみでならない。

発売中のNumber993・994号「桜の告白。」では、イングランドを準優勝に導いたエディー・ジョーンズHCのインタビュー「日本の勇気に感激した」が掲載されています。
ラグビーの戦術トレンドの移り変わりから日本がさらに強くなるためのシステム構築に至るまで、1時間にわたって語られた名将の貴重な肉声をぜひ、お手にとってご覧ください。
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