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プレーも精神面も成長する西田有志。
19歳に感じるVリーグを背負う覚悟。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byV.LEAGUE
posted2019/12/25 19:00
2シーズン目の今季はアタック決定率、総得点で2位につける。サーブ得点はリーグ1位とチームの主軸として活躍(12月23日時点)。
サービスエース数はリーグ1位。
その西田は、会場につめかけた観客を、期待にたがわぬプレーで沸かせている。サントリーサンバーズのムセルスキー・ドミトリーに次ぐ全体2位の総得点を挙げながら、アタック決定率も56.9%の2位と高い数字を残している。
得意のサーブもカジースキに次ぐ2位だが、サービスエースの数はカジースキの32本を大きく上回る43本でダントツの1位。ワールドカップからの好調を維持している。いや、好調というよりも、もうこれが西田の普通になっている。
5~6月に行われたネーションズリーグまでは、サーブのいい時と悪い時の波があった。そこで夏以降、西田はサーブのトスの安定に努めた。
変えたのは“日常”の意識。例えば、試合前や普段の練習で行う対人練習の最初は、自分でトスを上げて、ボールを叩きつける動作を行うが、「以前は低いトスを上げて打って、肩慣らしをしているぐらいの意識だったけど、それでは肩のアップになるだけで、動作にはつながらない」と考え、1本1本サーブのトスと動作をイメージしながら対人を行うようにした。
新ボールは最後に落ちる。
ワールドカップや今季のVリーグから採用されているミカサ製の新ボールも西田に合っている。
日本代表と東レでアナリストを務める伊藤健士氏はこう話す。
「以前のボールは伸びる印象がありましたが、新しいボールはドライブ回転をかけると最後に落ちる印象を受けています。だから特に西田のように、ちゃんとドライブ回転をかけて打つタイプには効果的だと思う。今のボールの方が面が多くなり、表面のくぼみが増えてデコボコしているから、空気をこすりやすいんじゃないでしょうか」
以前のボールでは力一杯打ってアウトになっていたようなジャンプサーブも、今のボールなら最後に落ちて入る感覚があるため、思い切りスイングしやすい。
西田のサーブは時速120km前後のハイスピードが出る上に、レシーバーから見て右から左へ鋭くスライスするため、レシーバーは対応に苦労している。