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プレーも精神面も成長する西田有志。
19歳に感じるVリーグを背負う覚悟。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byV.LEAGUE
posted2019/12/25 19:00
2シーズン目の今季はアタック決定率、総得点で2位につける。サーブ得点はリーグ1位とチームの主軸として活躍(12月23日時点)。
「ちょっと言っていいですか?」
そんな19歳はチームにカツを入れることもある。
11月16日の9位大分三好ヴァイセアドラーとの対戦は、セットを奪われ苦戦した。その試合内容に危機感を抱いた西田は、主将の本間に「ちょっと言っていいですか?」と確認した上で、選手全員を集めて「しっかりコンディションを作るのもオレたちの仕事」など、プロフェッショナルとは何たるかという話をした。
「日本で一番レベルの高いリーグでやっているんだから、コンディションが、とか言っている場合じゃない。やっぱり誰もが目指すようなプレーをしなきゃいけないし、コンディションのせいにしていては絶対に勝てない。それは全日本で学ばせていただいたことなので、チームに言わなきゃいけないと思って、言わせてもらいました」
本間はこう振り返る。
「あの時は、チームとしてちょっとプロ意識が足りなかった。勝てりゃいいかなみたいな感じで、少しプレーが横着になったり。僕が気づく前に彼が気づいてくれたので、『じゃあお前から言っていいよ』と。彼はたぶん自分の気持ちを引き締める意味でも、そういう発言がしたかったんじゃないかなと思います。結果的に次の日は全員がいいパフォーマンスを出せた。チームが少し変わったのは、彼のおかげでもあると思います」
「何かを求めるなら、何かを犠牲にしないと」
今シーズン、西田と本間は一緒に過ごす時間が長く、昨季フランスリーグのパリ・バレーでプレーした本間に、西田はヨーロッパの環境やプロ選手の意識について、興味津々で質問するという。
「僕が使っているマットレスを彼も使うようになったり、あとは食事面など、ものすごく考えている。本当に、19歳とは思えない、規格外のプロ意識です。僕もすごく勉強になっています」と本間は言う。
西田は高校を卒業した昨年の春、社員としてジェイテクトに入社したが、約半年後、18歳でプロ選手となった。その理由をこう語っていた。
「今、このバレーボールで世界で戦う中で、果たして自分が社員としてその場にいて、いろんな仕事を成し遂げられるのか、というところを考えました。人によってそれぞれだと思いますが、自分の場合は、安定した社員という立場で、自分が求めるところまで行けるのかといったら、達しないと感じた。
何かを求めるなら、何かを犠牲にしないといけない。安定を犠牲にして、自分に日々プレッシャーをかけないと、自分は上に行けない気がしたんです。社員という肩書きがあると、自分ができていないことの言い訳にしてしまいそうで、それが嫌で。社員ということを取っ払って、プレーで評価されるというのを繰り返す方が自分には合っているのかなと」