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石川祐希が、実は最近気づいたこと。
「“あ、もう24歳なのか”ぐらい」
posted2019/12/29 19:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Itaru Chiba
今秋のワールドカップバレーで男子日本代表は28年ぶりとなる4位入賞を果たし、2020年東京五輪に向け、いい形で大会を締めくくった。
コートではエースの石川祐希が躍動し、チームを牽引した。
W杯では大会を通じ、パフォーマンスはもちろん、チームメイトを鼓舞する姿や積極的に発言する場面が多く見受けられた。
これまで同様に日本代表のエースとして高いパフォーマンスを要求され、プレーの出来が試合の勝敗を左右する責任を本人も自覚している事実は変わりないのだが、加えて、力強さやさらに強烈な存在感が加わった印象だ。
その“変化”を知りたくなった。
「環境の違いが大きいのかも」
イタリア・ベネチア空港からバスと電車を乗り継ぎ、ようやく目的地に到着した。学生の街として有名なパドバ。駅前には授業を終えた多くの学生が溢れていた。
さらに、そこから車で練習が行われるホーム、キオエネ・アリーナへと向かった。取材が行われたのはチームに合流して約1カ月経った頃だったが、石川はすっかりチームになじんでいるようだった。練習の合間に見せる笑顔からは、余裕も感じられた。何よりも楽しそうにプレーしている。
数日後に行われたホームゲームでは、試合終了後、大勢のファンが彼にサインや写真を求め、集まってくる。石川は最後までコートに残り、最後の一人まで丁寧に対応している。早くも現地のファンの心を掴んでいるようだ。
インタビューでは“変化”の理由を探るべく単刀直入に問いかけた。
自分がチームの勝敗を左右するぐらいの責任を背負っている、それを真の意味で自覚し、プレーするようになったなと感じ始めたのはいつだったのか。
意外にも、それは想像していたよりも最近のことだった。
「昨季シエナでのプレーを終えるあたりとか、今季に入った頃からですね」
大学卒業後、プロ選手になったことがバレー人生の大きな転機となった。
「プロ選手としてプレーするようになったこともそうですし、自分がやらなければというか、自分自身の結果でいろいろなことが大きく変わっていく。プロになったことで、バレーボールを見てくれる方々がいることのありがたさをあらためて実感しましたし、そういう面でも結果を出さなければという思いが強くなりましたね。
もちろん、日本代表としてプレーすることの大切さも感じています。意識的に変えたというよりも、自然に変わっていたと思います。やっぱり環境の違いや変化が大きいのかもしれません」