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プレーも精神面も成長する西田有志。
19歳に感じるVリーグを背負う覚悟。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byV.LEAGUE
posted2019/12/25 19:00
2シーズン目の今季はアタック決定率、総得点で2位につける。サーブ得点はリーグ1位とチームの主軸として活躍(12月23日時点)。
選択肢が増えてきた西田。
また、スパイクでも、コンディションやその日の調子に左右されることなく安定した働きを見せている。
12月14日のサントリー戦でフルセットの激戦を戦い、チーム最多の33得点を挙げて勝利に貢献した翌日の堺ブレイザーズ戦で、成長を示した。
「昨日の疲れが抜けていなかった」というコンディション的に苦しい状態だったが、西田はフェイントなど軟打を巧みに織り交ぜて得点につなげ、61.1%という高い決定率で勝利に導いた。
「攻撃の選択肢を増やす」ことは、今リーグの開幕時に掲げていたテーマだった。
「ワールドカップの後、フィリップ(・ブラン)コーチから、『世界的なプレーヤーになるためには、コースの幅や考える能力をもっと身につけろ』という言葉をもらいました。カナダ戦の後でちょっと気分がいい状態やったんですけど、すごい落とされた(苦笑)。状況が悪い時に軟打を使ったり、ブロックアウト、リバウンドなどバリエーションを増やすことが、まずこのリーグで考えてやっていることです」
難しい状況では丁寧にリバウンドを取って攻め直すなど、無駄な失点を減らそうという意識が見え、それがチームの安定にもつながっている。
チーム最年少でも、遠慮はしない。
プレーだけでなく、精神面の変化も大きい。リーグの開幕戦後、チームメイトの浅野は驚きをこう語った。
「今日は西田が代表から戻ってきて初めての試合だったんですが、違いをまざまざと感じた。昨季はちょっとプレーがうまくいかないと、怒るというか、ムカムカしている西田がいたんですけど、今日は西田がキャプテンかっていうぐらい、すべての指示を出していた。以前はダメなプレーに対する要求が多かったのに対して、今はチームを動かす声が出ていて、すげーなと、本当に成長してるなと感じました」
西田は入団2年目だが、男子バレーは大学卒業後にVリーグ入りする選手がほとんどのため、高卒で入団した西田はまだチーム最年少。しかし入団当初から、遠慮しない、物怖じしない態度は変わらない。
試合後の記者会見場に、本間、西田、藤中優斗の3人が入ってきた時のこと。
本間が、「何の順で座る? 態度がでかい順?」と言うと、西田がすかさず「絶対オレやん!」と突っ込んだ。