野球善哉BACK NUMBER
広澤克実と“PONY”の球数制限。
練習や喫煙にまで踏み込んだ新提案。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2019/11/30 20:00
ヤクルト、巨人、阪神で活躍した広澤克実氏。実はカンボジア代表のコーチなどもしている。
協会の理事長は広澤克実。
高校野球より下のカテゴリーだからルールが厳しいように見えるが、世界基準に照らした厳しいルール化と言えるだろう。さらに同プロジェクトでは、国際標準バットの導入や怒号罵声の指導や応援、大人の喫煙ルールについてまで徹底して規定している。
ある甲子園の優勝監督が、吸っているタバコの受け皿に缶コーヒーを部員に持たせて灰皿代わりにさせていたという話も耳にする。そうした指導者の排除など、ポニーリーグの「子どもを守る取り組み」を高野連も手本にしてほしいほどだ。
この取り組みの中心メンバーとなったのは、元プロ野球選手の広澤克実氏(協会理事長)、スポーツ整形外科医で、トミー・ジョン手術の執刀医でもある古島弘三氏らだ。彼らが中心となって議論して作り上げた。
同団体は、今後日本の球界内においても、大きな存在感を示していくのではないかと見ている。
10月末のプロジェクト発表記者会見で広澤克実氏は「我々の協会は次のステップへの通過点。安全に次のステップに送り出すためにどのようなことが必要なのか。ドクター、いろんなデータに鑑みながら、子どもたちのために何ができるかと言う観点から投球制限という結論に至った」と経緯を語った。
怪我を治すことと、予防すること。
同会見に出席した古島医師も補足してこう力説した。
「病院の方でデータを調べたところ、小・中学校時点で肘を痛めた既往歴を持っている選手の半数が、高校でも痛めています。小・中で一度も怪我をしたことがない選手と比べると、故障リスクは5倍くらいの違いがあります。
スポーツ医学は、怪我をした選手の手術、リハビリをして元の状態に戻すという考えでしたけど、障害というのはすでにしてしまった怪我と違い、予防することができる。障害によって野球を諦めてしまう選手がどれくらい存在するかという実態は出てこないものですが、病院で治療していますと、こういう選手たちはたくさんいる。大人が守ってあげないといけない」