濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
21歳、江川優生が独走の戴冠劇。
K-1戦士は若いほど高レベル?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakao Masaki
posted2019/11/28 11:30
アーサー・メイヤーを右バックスピンキックで悶絶KOさせた試合での江川優生。全試合KOという圧倒的強さで王座を獲得した。
卜部「(若い選手達は)年々、レベルアップしてる」
トーナメントに出場した日本勢を見ると江川21歳、西京春馬も21歳。安保璃紅が22歳で、リザーブマッチを闘ったTETSUと斗麗は19歳と17歳である。
「二十歳前後の選手は本当にレベルが高い。年々、レベルアップしてるんじゃないですかね。僕は同世代の選手より、他のジムの新人の試合が気になる。どんな技術を持っているのか、どんな練習をしているのかって。今度、アマチュア大会も見に行ってみようかと思ってるんですよ」
卜部がそう語った驚異の新世代。江川はその象徴だと言っていいだろう。
格闘技が“子供の習い事”の選択肢に。
ではなぜ、新世代は強いのか。
トッププロがアマチュアを参考にしようとするほどのレベルアップとはどういうことなのか。
もちろんどのスポーツでも、世代が変わるにつれてレベルアップしていく(記録が伸びる)のは当然のことだ。練習メニュー、トレーニング用具、サプリメントまで含めてありとあらゆるものが進歩していく。
加えて格闘技は、この20年あまりで急速にメジャーになった。
旧K-1旗揚げが1993年。PRIDEで桜庭和志がホイス・グレイシーを下したのが2000年だ。江川が生まれたのは“テレビで格闘技を見るのが当たり前”の時代だった。
メジャーになれば競技人口も増える。道場やジムに通うことが“子供の習い事”の選択肢に入ってきたのだ。その親は青春時代にK-1、PRIDEに熱中した団塊ジュニア、アラフォー世代。格闘技は怖い、危ないという意識よりも憧れのほうが上だろう。
サッカーや野球と同じように、格闘技も少年時代から競い合い、そこで生き残ったものがプロになる時代が来たわけだ。層が厚くなればレベルも上がる。