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迷走エメリ、冷遇エジル、主将軽視。
問題続出アーセナルの迷宮は続く。
posted2019/11/12 11:40
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto Press
次から次へとトラブルが発生している──。
ウナイ・エメリ監督は、アーセナルに着任して2シーズン目を迎えている。昨シーズンはあと一歩のところでチャンピオンズリーグ出場権を、ヨーロッパリーグ優勝を手に入れられなかった。
しかし、エメリの経験値、選手個々の能力、チーム全体の層を踏まえると及第点であり、フットボール部門の責任者を務めるラウル・サンジェイも現体制を支持している。今夏の市場ではダビド・ルイス、キーラン・ティアニー、ダニ・セバジョス、ニコラ・ペペといった即戦力候補を獲得。チャンピオンズリーグ出場権奪回に向け、戦力増強は成功したかのように周囲には映っていた。
リードすると消極的になるパターン。
しかし、第11節終了時点で4勝5分2敗。勝たなくてはいけないシェフィールド・ユナイテッドに敗れ、クリスタルパレスとワトフォードには引き分けた。試合内容も芳しくなく、1、2点のアドバンテージを得た途端に、残り時間が多くても守備的、いやいや消極的になるパターンが増加している。
もちろん、自陣に下がって守り切れればいいのだが、アーセナルに守備的な戦術が落とし込まれた形跡はない。どのようにしてボールを奪うのか、相手の攻撃を遅らせるのか、ありとあらゆる面が曖昧だ。各選手が自由に動き、バイタルが空っぽになりもする。
その結果、GKベルント・レノのセーブ数はリーグ最多の49回(第12節終了時点)。屈辱的な数字だ。
失点を防ぐには、相手陣内でのプレーを増やすこと、ポゼッションしながら試合をコントロールすること、守備意識に磨きをかけ、最終ラインの前にプロテクト能力に優れた人材を配置すること、などが考えられる。前述したように、近ごろのアーセナルは籠城を好むようになってきた。