【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER

私が起業家でなく経営者である理由。
改革そのものを生きがいとして。 

text by

池田純

池田純Jun Ikeda

PROFILE

photograph byBungeishunju

posted2019/11/11 11:00

私が起業家でなく経営者である理由。改革そのものを生きがいとして。<Number Web> photograph by Bungeishunju

DeNAベイスターズを離れてからの戦いの日々が、この1冊に詰まっている。

任せてくれれば、結果を出す自信がある。

 ストロングスタイル、という名前の通り、私は本質的に、ファイターです。

 決して扱いやすい経営者というわけではありません。

 肩書きや名誉職が欲しいわけでもありません。

 全権を渡さずにコントロールしたい、という上の人がいたり、自由に大胆に迅速に1人で意思決定ができなかったり、細かい報告や説明が必要でスピード感が出てこない……そんな現場では、完全に力を発揮することは難しいようです。

 そのかわり、本当に全てをイチから作り変える覚悟があって、数年間、経営のすべてを任せてくれる現場があれば、絶対になんとかしてみせる自信があります。

 そういう状況でマーケット、顧客と社会に向き合い、高速でトライアンドエラーをして行く中で、非連続的な成長を実現する実績も積んできました。

 だから、私はそういう場所で仕事がしたいと心から願っています。

 今、さいたまスポーツコミッションの会長として、さいたま市のスポーツの現場では、自由にさせてもらえるか、瀬戸際の状況です。当初の約束どおり、自由にはばたかせてくれたならば、結果とともに、さいたまの皆さんには、感謝の念を惜しみません。

美しいビジョンは重要視しない。

 みなさんのなかには、自身の「経営者はそうあって欲しい」という価値観からか、経営者は誰もが「世界をこうしたい」「社会に何かを提供したい」というビジョンを美しく大きく掲げるべきだ、と思っている方もおられると思います。

 でも、私はあまり、そこを重要視していません。むしろ危険なことだと思っています。

 社会貢献はもちろん大切です。しかし、社会へのインパクトと社会貢献は違います。美しいけれど具体性がないような、まず自分のところの経営で結果を出してからにしろよ、と言いたくなるような言葉だけが前に出てくると、どうしても綺麗事に聞こえてしまうんです。

 そしていつも、自分の内心が前に出てしまうとそれがエゴになってしまい、ビジネスとして正しい判断ができなくなると思っています。

【次ページ】 経営は、新しいパズルのようなもの。

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