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シェルバコワ、衝撃の4ルッツ2回。
GP初戦「女子4回転時代」が鮮明に。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byChristian Petersen - ISU/Getty Images
posted2019/10/22 08:00
GP初戦、スケートアメリカで銀メダルのテネル(左)、優勝したシェルバコワ(中)、銅メダルのトゥクタミシェワ。
「『怖い』としか思っていなかった」
そんな坂本にとって、4回転を跳ぶ新人たちのことは心のどこかでプレッシャーになっていたのではないだろうか。
彼女本来の滑りではなかったこともあり、優勝したシェルバコワとは25ポイントもの点差がついた。わずか1シーズンにして、女子も4回転がないと勝てない時代に突入した事実を、どう受け止めているのか。
「それ(4回転のジュニアが上がってくること)は、『怖い』としか思っていなかった。でも良い方に考えれば、まだまだ自分は前を走っている人を追いかける側にいられる。そういう立場のほうが思い切ってできるかなと思うので、いつかは越してやろうくらいの勢いでやっていきたいと思います」
坂本は自分に言い聞かせるように、まずそう口にした。
「見てるだけで、『は~っ』てなる」
シェルバコワの4回転の感想を聞かれると、こう答えた。
「見てるだけで、『は~っ』てなる。4回転も1個じゃないので、2個とか多い時は4個とか……進化が早すぎっていう感じ。自分ももうシニア3年目だけど、自分がジュニアのときのじわじわ上がってくる感じでなく、急激に上がっている感じがして、気持ちがついていかない。予想はしていたけど、こんなに早く来るとは思っていなかった」
この正直な感想は、おそらくほとんどの関係者の思いを代表しているのではないだろうか。
2シーズン前の平昌オリンピックまではプログラムの後半に入れた3+3が、女子全体の最大の武器だった。
昨シーズンは、紀平梨花の合計3度の3アクセルが女子の話題であった。
そしてわずか1年経過した今シーズンになってみると、誰もが話題にするのは4回転を跳ぶ少女たちのことである。
この大会でエリザベータ・トゥクタミシェワはSPとフリーで合計3度の3アクセルを降りたものの、他にミスが出たためもあり3位に終わった。