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宇野昌磨が「楽しむ」と記した理由。
言葉に感じたスケートへの真摯さ。
posted2019/10/13 11:30
![宇野昌磨が「楽しむ」と記した理由。言葉に感じたスケートへの真摯さ。<Number Web> photograph by Jun Tsukida/AFLO SPORT](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/6/1500wm/img_66b88a8bcb0ca1b5d50284de7a81933a296345.jpg)
10月5日のジャパンオープンでは個人成績169.09点とネイサン・チェンの189.83点に次ぐ2位となった。
text by
![松原孝臣](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Jun Tsukida/AFLO SPORT
書かれた文字は、シンプルだった。
だが、重さを思わせる文字でもあった。
「楽しむ!」
10月6日、他のスケーターたちとともに記者会見に登壇したフィギュアスケートの宇野昌磨は、今シーズンのテーマをボードに、端的に記した。
「楽しむ」をテーマにするに至ったきっかけを、宇野は説明する。
「いろいろアイスショーに出たり、試合のプログラムを(ずっと手がけていた樋口美穂子コーチから)ほかの方に振り付けてもらっているとき、ジャンプよりも今年は表現をメインに頑張りたいという思いが芽生え始めました」
「今までは、去年とかは特に試合でいい結果を出す、だから『楽しい』よりも『うれしい』を目指していました。でも、スケートもずっと続けられるわけじゃないので、現役選手をすぐやめるわけじゃないけど、こういう貴重な経験を楽しんでおくべきだなと考えました」
「去年は辛い試合が多かった」
競技人生はそんなに長いわけではない。そう感じるようになったのも、昨シーズンの経験が大きかったと言う。
「去年は辛い試合が多かった。終わったあとにうれしかったという機会も少なかったし楽しかった試合もなかったし、せっかく(世界で戦える)機会を手に入れたのに、辛い、苦しいという思いで終わらせていいのかと考えて。世界選手権があって、国別対抗があって、それも踏まえてシーズンオフのアイスショーがあって楽しみたいなという思いが出てきました」
話す中で幾度も触れた「昨シーズン」。
「自分がベストを尽くしたら、それ相応の結果がついてくると思うんです。自分のやれることをやって、出た結果は自分の実力だと思っています。だから結果を求めて試合はしないです」