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2009年ドラフトの今を検証<ヤクルト編>。
大成せずとも、脇を固めたいぶし銀。

posted2019/10/14 18:00

 
2009年ドラフトの今を検証<ヤクルト編>。大成せずとも、脇を固めたいぶし銀。<Number Web> photograph by Kyodo News

10年目を向かえた荒木貴裕は今季、自己最多となる93試合に出場。どこでも守れる器用さでチームに貢献した。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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Kyodo News

 いよいよ今年も「プロ野球ドラフト会議」の季節がやってきました。NumberWebでは、昨年も好評だった全12球団の10年前のドラフトを振り返って現在の戦力を検証する短期集中連載を企画しました。ジャーナリスト・小関順二氏による分析のもと、ドラフトの歴史を振り返ってみましょう。

 第11回は東京ヤクルトスワローズです!

<2009年ドラフト>
1位 中澤雅人/投手/トヨタ自動車
2位 山本哲哉/投手/三菱重工神戸
3位 荒木貴裕/内野手/近畿大
4位 平井諒/投手/帝京五高
5位 松井淳/外野手/日大国際関係学部
―育成―
1位 曲尾マイケ/外野手/青森山田高
2位 麻生知史/内野手/日大国際関係学部

 2009年も含めて、'05年以降のヤクルトは重複を覚悟して前評判の高い選手を1位(巡)で指名している。'07年は5球団が重複した佐藤由規、'09年は6球団が重複した菊池雄星(西武)、'10年は4球団が重複した斎藤佑樹(日本ハム)、'11年は3球団が重複した高橋周平(中日)、'12年は4球団が重複した藤浪晋太郎(阪神)、'13年は3球団が重複した大瀬良大地(広島)、'14年は2球団が重複した安樂智大(楽天)、'15年は2球団が重複した高山俊(阪神)、'17年は7球団が重複した清宮幸太郎(日本ハム)、'18年は4球団が重複した根尾昂(中日)という具合だ。

 この10人のうち、獲得できたのは佐藤由規だけ。それでは抽選で外したあとの外れ1位で誰を指名してきたのだろうか。

ヤクルトの外れ1位の歴史。

2009年
菊池雄星×→中澤雅人(投手・トヨタ自動車)
2010年
斎藤佑樹×→塩見貴洋×→山田哲人(内野手・履正社高)
2011年
高橋周平×→川上竜平(外野手・光星学院高)
2012年
藤浪晋太郎×→石山泰稚(投手・ヤマハ)
2013年
大瀬良大地×→杉浦稔大(投手・国学院大)
2014年
安樂智大×→竹下真吾(投手・ヤマハ)
2015年
高山俊×→原樹理(投手・東洋大)
2017年
清宮幸太郎×→村上宗隆(捕手・九州学院高)
2018年
根尾昂×→上茶谷大河×→清水昇(投手・国学院大)

 こうして見ると、外れ1位(あるいは外れ外れ1位)で即戦力タイプのピッチャーを指名したのは計6回。成功しているのは石山だけだ。反対に高校生野手には3回、その山田、村上が戦力となっている。目の前の結果だけ求めていてはチームは強くならないという典型的な例を、ヤクルトの過去の指名を見ると教えてくれている。

【次ページ】 いぶし銀の光を放った'09年組。

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