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W杯が教えてくれた誇りと熱狂。
きっと日本ラグビーの未来は変わる。 

text by

金子達仁

金子達仁Tatsuhito Kaneko

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/10/01 20:00

W杯が教えてくれた誇りと熱狂。きっと日本ラグビーの未来は変わる。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

アイルランド戦の勝利は、日本全土を熱狂の渦へと巻き込む価値あるものだった。

勝つこと、根付かせること。

 さて、何日か前、わたしは「今回の日本代表には2つのミッションがある」と書いた。

 1つは、勝つこと。もう1つは、日本にラグビーを根付かせる礎を築くこと。

 いささか気が早いかもしれないが、アイルランドを倒したことで、2つのミッションはコンプリートされたと言ってもいい気がする。

 もちろん、ブームが文化に昇華していくのは簡単なことではない。メディアや広告代理店が総力を注いだところで、ならないものはならない。

 それでも、アイルランドを倒したことで、ラグビーのワールドカップは国民的な関心を集めるスポーツ・イベントとなった。

メディアも、次から変わる。

 ご存じの通り、今大会を中継しているのはNHKと日本テレビ、そしてジェイ・スポーツである。TBSは? フジは? テレビ朝日は? テレビ東京は? 経緯はどうであれ、彼らの手に放送の権利は渡らなかった。サッカーのワールドカップでは試合中継の順番を巡って全局が熾烈な戦いを繰り広げるが、そうはならなかった。

 次からは、変わる。

 1990年イタリア・ワールドカップの予選では見向きもしなかった民放が、こぞって中継局として手をあげたように、4年後の23年にフランスで行なわれる第10回ラグビー・ワールドカップは、すべての放送局が中継権を切望するようになる。

 変わるのはテレビだけではない。

 4年前、我らが文藝春秋Numberは1人の社員カメラマンも現地に派遣しなかった。いや、優秀なフリーランスが多数いることを考えれば、必ずしも批判されることではないのだけれど、ただ、サッカーのワールドカップには毎回社員のカメラマンが派遣されている。

 サッカーのワールドカップは国民的なイベントだから。

 ラグビーのワールドカップはそうではないから──いや、なかったから。

【次ページ】 アイルランドは、二兎を追った。

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