サムライブルーの原材料BACK NUMBER
岡田武史の理念を実現する橋本英郎。
FC今治のJ3昇格を引っ張る40歳。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byFC Imabari
posted2019/10/03 11:30
橋本英郎の目はピッチ内で起きていることを見渡し、ピッチの外にまで向かっている。
地域とサッカーの好循環。
ハッシーは岡田オーナーの理念を体現する人。
愛媛・今治は人口16万弱、タオルと造船の町として知られる。岡田オーナーはこの地で地域密着、国際交流、そして子どもたちの自然教育に積極的な活動を行っている。
橋本も7月、瀬戸内海にある離島の上島(かみじま)町で「U-12 PUENTE FESTIVAL」を開催した。上島町は彼の妻の故郷。主目的は離島に住む子供たちに対外試合の機会をつくるためだが、IT企業によるプログラミング体験をはじめ最新のテクノロジーに触れる機会を設けた。現役選手による画期的な試みだった。
「島には橋がなくて、生活するのに不便なことも少なくない。でも離島に住む子供たちだからこそのアイデアや発想があるはずで、(ITに)興味を持つきっかけになればいいかなと」
橋本が企画したイベントには、FC今治も全面協力した。今治でプレーするのは、自分発信のアイデアでこういった社会貢献ができることも理由にある。ひいてはセカンドキャリアを考えるきっかけにもなる。
社会や地域とつながって、フットボーラーだからこそやれることを考える。と同時に、つながったものを自分のモチベーションとしてピッチで戦おうとする。好循環に身を置くからこそ、「チームの頭脳」が冴える。
Hondaを倒して1位でJ3へ。
今治の目標は、単にJ3昇格ではない。
選手で決めた「優勝して昇格」を最後まで目指す。
天皇杯4回戦で浦和レッズを撃破するなど「アマ最強」の呼び声高い首位・Honda FCとの勝ち点差は8。奇跡の逆転優勝の可能性を少しでも残すには、アウェーでの直接対決(5日、都田)に勝たなければならない。
橋本は誓う。
「Hondaが勝ち続けてくれているから、こっちも1回勝ったって関係ない、次を見ようとなっている。優勝するという強い気持ちを持って、楽しんでいきたい」