バスケットボールPRESSBACK NUMBER
データが示す日本バスケの問題点。
3Pの成功数が倍以上のチームも。
text by
青木崇Takashi Aoki
photograph byAFLO
posted2019/10/02 11:30
3Pシュートも持ち合わせる八村塁は、やはり日本のキーマンである。あとはガード陣の奮起が待たれる。
日本は成功率が低く、相手には決められる。
そんなニュージーランドが1次ラウンドを突破できなかった理由は、対戦相手にも平均11.6本も決められたディフェンスに尽きる。
3Pシュートを打たれた本数(平均31.6本)は出場32チームの中で最も多く、その成功率は36.7%。ベスト8に入ったチームはすべてニュージーランドよりも対戦相手の3P成功率が低く、決勝に進んだスペイン(28.3%)とアルゼンチン(27.6%)は30%未満の数字に抑えている。
3Pシュートでの失点を少なくすることは、ペイント内と同様に勝敗を左右する要素であると示すものだった。
3Pの平均成功数・成功率・対戦相手の3P成功率
スペイン 9.1本 31.7% 28.3%
アルゼンチン 9.4本 35.4% 27.6%
フランス 8.8本 40.7% 35.9%
オーストラリア 9.8本 35.9% 32.5%
セルビア 10.1本 40.5% 31.5%
チェコ 9.3本 42.8% 35.9%
アメリカ 10.4本 34.9% 33.2%
ポーランド 7.6本 31.6% 35.8%
日本 5.4本 28.7% 39.2%
遠い2Pシュートは打つほど不利になる。
8月にデトロイト・ピストンズのドウェイン・ケイシーコーチが白鴎大でクリニックを行った際、「ロング2(距離の長い2Pシュート)は悪いシュート」と口にしていた。
ディフェンスする側からすれば、ゴール下で簡単に失点することや3Pを決められるよりは、ペイントの外側から2Pシュートを打たせるほうがいい、ということである。
「失われた芸術」と例えられるくらい、現代のバスケットボールではミドルレンジから高確率でシュートを決められる選手が少なくなっていることも大きい。
ワールドカップにおける各チームのシュート・チャートをチェックしてみると、ペイントの外側から打った2Pシュート数が1試合平均10本を超えたのは、上位8チームでアメリカのみ。
参加国全体だと12チームで、そのうちの9チームは負け越し。1次ラウンドで敗退したチームは7つもある。
逆に、2位のアルゼンチン、4位のオーストラリア、5位のセルビアは5本以下。セルビアは1次ラウンドのアンゴラ戦とフィリピン戦の2度、アルゼンチンもフランスとの準決勝で1本しか打っていない。
ペイントの外側から打った2Pシュートの本数をワールドカップの全92試合でチェックしてみると、勝ったチームが相手よりも少なかった例は57試合(勝率61.9%)もあった。