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バスケ米国代表ピアスACが明かした、
W杯日本戦で警戒した4つのポイント。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/09/15 09:00
アメリカ代表ポポビッチHC(右)と話し込むピアスAC。今回のW杯では日本戦のスカウティングを担当した。
日本を軽視するわけにはいかない。
結局、試合序盤から完全に主導権を握ったアメリカは、日本相手に98-45と完勝。竹内譲次は後に、「プレーをやらされてしまったというのは随所にあった」と言っていた。
「アメリカは、チェコやトルコみたいに(八村)塁に対してすごくシフトを敷いてきたってわけではないと思うんですけれど、マンツーマンのディフェンスから、誰が相手でも全力でやってきた。2006年世界選手権に出て、スペインと対戦したときもそうだったんですけれど、どんなに格下で点差があいていようと手を抜かないっていう姿勢もトップだと感じました」
確かに、アメリカのディフェンスは基本的に1対1だ。それは1対1で守り切れるという自信があってのこと。その中で、チーム内での決めごとはあったし、日本対策と言える細かな指示も出されていた。
日本戦が終わった後にようやく取材が許されたピアスコーチに、実力差がある日本相手でも油断せず、十分にスカウティングの準備をしたことについて聞くと、次のように語った。
「日本は(強化試合の)アルゼンチン相手に残り2分で6点ビハインドだった。ドイツ相手にも、12点負けていたのを追い上げて逆転し、勝っている。その前の強化試合ではニュージーランドにも勝っていた。だから、私たちはできるだけ準備するようにした。日本を軽視するわけにはいかないことはわかっていた」
序盤で徹底的に相手を抑え込む。
それでは、いったい、どんな対策を取ってきたのだろうか。ピアスコーチの言葉をもとにまとめてみた。
(1)勢いに乗せないために、試合序盤から日本の得意なプレーを封じる
ピアス「この試合に向けて日本を見て、まず思ったのは、すばらしい情熱をもってプレーしているということだった。40分間、手を抜くことがない。だから、日本が効果的にできることを、序盤からできるだけ抑えることが必要だと思い、そのためにできることを何でもやった」
格下の相手と戦うときには、相手に自信をもたせないことは重要だ。序盤で徹底的に抑え、やりたいことをやらせない。それが、アメリカのディフェンスだった。アメリカの激しいディフェンス相手に、日本選手たちは「ものすごい圧を感じた」と言い、日本はターンオーバーや、打ちにくいシュートを打たされ、1Qにフィールドゴール3本しか決められず(3/12)、わずか9点しか取れなかった。
アメリカも決してシュートが決まっていたわけではなかった(1QのFG9/16=成功率35%)が、それでも1Qが終わったときには、23-9と14点差がついていた。