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バスケ米国代表ピアスACが明かした、
W杯日本戦で警戒した4つのポイント。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/09/15 09:00
アメリカ代表ポポビッチHC(右)と話し込むピアスAC。今回のW杯では日本戦のスカウティングを担当した。
米国を警戒させた篠山の戦う姿勢。
(2)日本の“ハート&ソウル”のシノヤマを抑え、日本のトランジションを止めて、ハーフコートでの勝負に持ち込む
ピアス「トランジションで走り、得点していた。私たちコーチ陣はみんなシノヤマにとても感心していた。彼はチームのハート&ソウルで、トランジションで走っていた。日本をトランジションで走らせないようにしてハーフコートで戦えば、私たちのディフェンスとパワーで上回ることができると思っていた」
チェコ戦で7点、4アシスト、トルコ戦では3点、3ターンオーバーと、決してずば抜けた数字を残していたわけではなかった篠山竜青だが、彼の身体を張ったプレー、諦めずに最後まで戦う姿勢にアメリカのコーチたちは注目していた。彼こそが、日本の“ハート&ソウル”であるとみて、篠山にプレッシャーをかけ、日本のペースでプレーさせないように、トランジションで走らせないように警戒した。シュートを決め(FG成功率48%)、オフェンス・リバウンドを制し(日本のディフェンス・リバウンド25本に対して、アメリカのオフェンス・リバウンド20本)、日本に走るチャンスを与えなかった。
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結果、日本の速攻での得点はわずか11点。そのうち6点は勝敗も決した4Qにあげたもので、3Qまでは5点しか決められていない。日本のペースに持ち込ませてもらえなかったのがわかる。
八村を4点に封じ込めた策。
(3)八村にはボールを持たせない
ピアス「塁は少し前の強化試合で35点や31点をあげる試合をしていたし、この大会でもいい活躍をしていた。とにかく彼にボールを触らせないようにした。彼がポストアップするたびに、フロントから守り、ピック&ロールはすべてスイッチで守った。一番大事だったのは彼にボールを持たせないことだった」
試合の流れを決めた1Qに10分フル出場した八村がポストエリアでボールを持つことができたのはわずか2回だった。試合開始から八村をマークしていたハリソン・バーンズは、八村がペイント近くに来ると、身体を張り、フィジカルにフロントから守って楽にパスを入れさせなかった。試合開始から約2分たって、ようやく八村はローポストでボールを持ち、バーンズ相手にポストアップで攻撃をしかけたが、結局、フェイドアウェイで打ったシュートはエアボール。
その後、ポストでボールが入らないとみた八村は、3Pラインの外に出て、ボールを持ってからインサイドに押し込む作戦に変えた。ピック&ロールから、ガードのデリック・ホワイトがマークにつき、ポストまで押し込んだ場面もあったが、シュートを打つ前にファウルで止められた。結局、八村は前半シュートを2本しか打てず0点、試合を通してもわずか4点に終わっている。