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中島翔哉を擁するポルトも惜敗。
ロシア勢の意地と欧州の奥深さ。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2019/09/12 16:00

中島翔哉を擁するポルトも惜敗。ロシア勢の意地と欧州の奥深さ。<Number Web> photograph by Getty Images

クラスノダールは今夏のCL予選で日本代表MF中島翔哉も所属するポルトを3回戦で下してプレーオフに進出した。

スパルタク・モスクワ「フェドゥンの呪い」。

 2016-'17シーズンにCSKAの連覇を阻み、15シーズンぶりの優勝を成し遂げたのが、スパルタク・モスクワだ。ソビエト連邦崩壊後のロシアリーグ初代王者で、2001年までに9度優勝と、まさに当時のロシアを席巻していた。

 だが、ショートパス主体の厳格なサッカーを植え付けたオレグ・ロマンツェフ監督や、その教え子のバレリ・カルピンらが去ると、優勝争いが遠くなった。

 そんなクラブを浮上させたのが、オーナーのレオニド・フェドゥンだ。ただし、大富豪の到来が、すぐに結果へつながったわけではない。むしろ、「フェドゥンの呪い」と揶揄されるほど、あと少しで優勝に手が届かない時期が続いた。

 金満オーナーがクラブを手に入れた2004年以降、補強にかける資金額が1桁増えた。一方、大金をつぎ込むオーナーらしく、何人もの監督の首をすげ替えている。

今では3倍近い観衆がホームゲームに集う。

 スパルタクの“苦難の時間”が終わったのが、2016-'17シーズンだった。ユベントスとイタリア代表を率いたアントニオ・コンテの下でコーチとして学んだマッシモ・カレーラが監督に就任。イタリア人監督らしく、出る結果は派手ではないが、手堅い。そうして勝利を重ねた末に、忘れかけていた栄光が待っていた。

 フェドゥンの投資はピッチ内にとどまらなかった。

 2014年、初めてクラブ自前のスタジアムが完成した。昨年のロシアワールドカップでも使われた近代的スタジアムだ。当然ながら観客数は増え、ロシアリーグのスタート当時と比べると、今では3倍近い観衆がホームゲームに集う。

 その応援という「地元力」とチーム力の両輪がうまく回った結果が、久々のロシア王座の獲得だった。まさにローマの叛乱の闘士「スパルタクス」のごとく、人民が軍隊と縁の深いチームからタイトルを奪い取ったのだ。

【次ページ】 ロシアカップで8度の優勝。

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