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中島翔哉を擁するポルトも惜敗。
ロシア勢の意地と欧州の奥深さ。
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2019/09/12 16:00
クラスノダールは今夏のCL予選で日本代表MF中島翔哉も所属するポルトを3回戦で下してプレーオフに進出した。
ロシアカップで8度の優勝。
スパルタクに続き、2017-18シーズンにロシア・プレミアリーグのタイトルをロシアの首都に留め置いたのが、ロコモティフ・モスクワである。
ロコモティフを率いた計20年以上で、クラブが記録した全3度のリーグ優勝を支えた男。それが現在もロコモティフの指揮を執っているユーリ・ショミン監督だ。
ロコモティフは昔から裕福なクラブではなかった。国内のライバルと比べても戦力的に勝っているとは言い難い。それでもショミンは、チームを救ってきた。
とりわけ一発勝負のカップ戦に、クラブのアイデンティティが表われていると言える。ロコモティフが獲得した初タイトルは1996年のロシアカップで、翌年に連覇を果たした。もたらしたのは、もちろんショミン。ロシアカップでの優勝回数でロコモティフの8度に並ぶクラブはない。
クラブに染みつくショミンイズム。
当然のごとく、初のリーグ優勝もショミンの下で成し遂げられた。
2002シーズンの全30試合の得点数はリーグ4番目とパッとしなかったが、失点は14。ダントツで少なかった。その傾向は2年後の2度目の優勝時も、一昨季も変わらなかった。昨季、CLで唯一挙げた勝利がホームでのガラタサライ戦だったが、その試合でもボール保持率で相手を上回ることはなかった。
ショミン=ロコモティフ。そう言えるほど、ショミンイズムはクラブに染みついている。ついでに言えば、クラブが経営危機に陥ったとき、ショミンはクラブの株を購入して倒産の危機を脱する手助けをしている。まさにロコモティフの救世主なのだ。
こうしたモスクワのクラブに、今夏バルセロナに4000万ユーロ(約47億6000万円)を払ってマウコムを獲得した金満のゼニトなどが加わり、ロシア国内では競争が激しさを増している。