【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
「プロ化」の意味、わかってますか?
日本スポーツ界の悪癖、親会社依存。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/09/01 19:00
日々盛況の横浜スタジアム。DeNAという親会社以上に「ベイスターズ」という存在が認知されているからこそだろう。
企業の関与が大きすぎることが根幹。
それならば、本当にスポーツ経営に特化した経営者が、そのクラブとチームのことだけに集中できた方が成長の可能性は絶対に大きくなるというのが私の持論です。そう任せてもらえるケースがほとんどないことも分かって言ってもいますが。
日本のスポーツ経営がなかなか本当の意味でプロフェッショナルにならないのは、企業の関与が大きすぎるからだと私は思っています。
日本は特殊、仕方がない、と言ってしまえばそれまでになりますが、要するに、「プロ化」ということの意味が理解されていない、経営が中途半端になってしまうことが多い根幹ではないでしょうか。アメリカのMLBやNBAを考えてみてください。オーナーはいますが、オーナー会社の社名や論理が聞こえてくるクラブがどこにあるでしょうか。
親会社にとっても任せた方がプラス。
なので、ラグビーやバレーボールで言われる「プロ化」についても正直に言えばかなり懐疑的です。
形だけ法人として独立させたとしても、親会社から親会社のアジェンダ(意図や目的)を背負った経営者が来たり、相場をはるかに超えたスポンサー費を1社に依存している状態では、プロとは言えないでしょう。
私がベイスターズで成功したのも、DeNAが4年間放って任せてくれたことと、DeNAの顔色を窺う必要もなく(笑)、ベイスターズの経営に邁進できたから。それがプロとして成立する条件なんです。
そして経営的に親会社に依存しないで回るようになれば、自分たちだけで意思決定できるクラブも増えてくると思います。
親会社にとっても本当は、経営に介在していくことよりも、プロスポーツ経営の専門家に任せて資産価値を大きくしてもらった方がプラスになるはずでしょう。