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「2020」の日本のクライミングが見えた!
11日間の激闘に幕。“世界選手権まとめ”。
posted2019/08/31 11:00
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph by
AFLO
東京五輪のスポーツクライミング日本代表は、誰よりも早くから五輪出場を目標に掲げ、覚悟を持ってトレーニングを積んできた選手が五輪代表内定をつかみとった。
11日間にわたったクライミング世界選手権は、コンバインド決勝でフィナーレを迎え、男子は楢﨑智亜が優勝し、女子は野口啓代が2位となった。
両選手のほかに男子は原田海、楢﨑明智、藤井快が決勝に進み、女子は野中生萌、森秋彩、伊藤ふたばが大勝負に挑んだが、今大会7位以内の日本人最上位選手に与えられる東京五輪の日本代表内定は、楢﨑智亜と野口啓代に決まった。
楢﨑智亜が決勝で日本新記録をマーク。
「夢みたいで信じられない」と野口は歓び、楢﨑は「優勝できてホッとしている」と安堵したが、両選手に共通するのは、誰よりも早くから東京五輪の出場に意欲を燃やしたことだ。
五輪で実施されるコンバインド種目は、ボルダリング×リード×スピードの順位を乗算してポイント化した点数の低さで争われるが、この種目に決定した当初は国内にスピード種目は浸透していなかった。それもあって五輪出場を目指すのに二の足を踏む選手が多かったなか、両選手は精力的トレーニングを積んできた。
「スピードなんてクライミングじゃないという人もいたけれど、自分はスピードを初めてやったときに楽しいと感じたんですよね。それで練習量もほかの選手よりも多くできたから、適応も早かったんでしょうね」
当時をそう振り返る楢﨑は、今回の世界選手権コンバインド決勝で6秒159をマークして自身が持つ日本新記録を更新。コンバインド優勝を手繰り寄せた要因になった。