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競泳メダリスト・星奈津美が感じた
トビウオジャパンの結束力。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/08/07 11:00

競泳メダリスト・星奈津美が感じたトビウオジャパンの結束力。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

平井コーチの存在は本当に大きい。

 東京五輪ではリオで一緒に戦った選手たちも出場するでしょう。水泳は個人競技ですが、それぞれの存在がすごく近い。例えば、男子と女子が1つのコースで一緒に練習をしたり、同じメニューを行なったりするんですね。そういうスポーツってなかなかなくて、先輩後輩や男女を超えた同志のような感情があるんです。だから、個人で出場するけれど、チームジャパンとして戦う意識も持っています。実際、日本代表に入ると、ミーティングなどでそれぞれの目標を発表して、チーム全体でひとりひとりの目標を共有します。そして、全体でメダルを何個取るのかという、チーム全体の目標も必ず決める。だから、みんなで戦っているのだと気持ちがひとつになるんです。他の選手はライバルでもありますが、チームジャパンのためにメダルを取って欲しいという気持ちも不思議と湧いてくるんです。

 平井コーチの存在も大きいですね。例えば、平井コーチは選手の性格をすごくわかっていらっしゃって。私は遠慮をして、自分の考えをはっきり出せずに考えすぎてしまうところがあるのですが、リオ五輪の前にはっきりと“遠慮をしすぎだ”と言われたんです。不安に思うことや、何か思うことがあればきちんと言ってほしいし、泳ぎひとつとっても、平井コーチが言うことは正解ではなくて、あくまでも提案なんだと。それに対して私は“そうですね”と受け身になるばかりだったのですが、違うと思えば自分の考えを言ってもいいんじゃないかと言われたんです。平井コーチがそう言ってくれたおかげで、五輪という大舞台を迎える前に思っていることを全て正直に話すことができたし、すっきりとした気分でリオに向かえました。

選択肢を持たせるような指導を。

 引退して、水泳教室などで教える機会が増えた今心がけているのは、こういう風にしなさいと指示をするよりも、自分で考えて自分で選択できるように、選択肢を持たせたアドバイスをするということ。

 平井コーチはもちろん、うちの両親も、ああしなさい、こうしなさいと頭ごなしに言わず、色々な選択肢の中から自分で選ばせてくれたんですね。水泳を続けるのかどうするのか、そういうことも含めてまずは私の意見を聞いてくれて、助言はしても、最後には自分で決断をさせてくれた。

 自分で決めると、決めたからには最後までやり遂げようというスタンスになれるし、途中で諦めることなく、責任を持ってやりきろうと思うことができるんです。大人になってよりその大切さ、ありがたさを私自身が感じているからこそ、次の世代にも伝えていけたらと思っています。

星奈津美

星 奈津美Natsumi Hoshi

1990年8月21日、埼玉県生まれ。1歳半で水泳を始め、春日部共栄高校3年生の時に北京五輪に出場。2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪にも出場し、200mバタフライで2大会連続で銅メダルを獲得。2016年8月に結婚、同年10月に現役を引退。現在は東洋大学の非常勤講師、日本水泳連盟アスリート委員を務めつつ、後進の指導にも力を注ぐ。

新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第67回:星奈津美(水泳)

8月9日(金) 22:00~22:24

元競泳選手の星奈津美さんは3大会連続で五輪に出場し2個の銅メダルを獲得しました。その一方で、病との辛い闘いも経験。高校生の時にバセドウ病を発症し、24歳の時に手術を決意。1カ月ほど競技を離れた時の彼女の思い、そして今、病気やケガと闘う子供たちに伝えたいメッセージとは?

第68回:田知本遥(柔道)

8月16日(金) 22:00~22:24

柔道女子70kg級で活躍した田知本遥さん。五輪ではロンドンでの屈辱を経て、4年後のリオでノーシードから金メダルを獲得しました。2017年に現役を引退し、現在は筑波大学大学院に在学中。美味しいコーヒーを淹れるのがホッとする自分のオフ時間だという彼女の素顔にも密着します。

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