話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「バルサ化」の夢はいずこへ……。
新監督でも止まらない神戸の混迷。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/07/18 11:40
現役時代はバイエルンの守備的MFとして輝かしい実績を残したフィンク監督だが……。
前線の4人の動きに変化がなさ過ぎる。
さらに言えば、山口やイニエスタがボールを持った時、前線の4人の動きに変化がなさ過ぎる。相手のマークを背にして厳しい状態でボールを受けるため、奪われてカウンターを食らう。
山口は言う。
「センターバックとボランチがゲームを作る中で、前の4人が横並びのまま。誰かが下がってこないと結局、距離が遠くなり、蹴ってしまうことになる。同じことの繰り返しをしてしまった」
形から入ったバルサ化だが、どのくらいやれるのか期待していた。しかし、現状はその方向に進んでいない。全体のバランスが悪く、結局、昨年と何ら変わらない頭でっかちなチームになっている。
この日の湘南戦では、ここ3試合で7失点と顔をのぞかせていた「守備の脆弱性」も完全に露呈してしまった。
湘南はサイド攻撃を徹底していたが、とりわけ若いサイドバック初瀬亮とセンターバック宮大樹が並ぶ神戸の左サイドからの攻撃が多かった。湘南はスカウティングでこちらのサイドから揺さぶりをかけて攻めればチャンスを作れるということを全員が共有していたのだ。
「分かっていたけど、対処できなかった」
湘南の狙いは当たり、神戸は失点を重ねた。
湘南の右ウィングバックの古林将太、FW武富孝介らに再三、クロスを上げられた。後半24分に山崎凌吾に決められた同点ゴール、さらに決勝点となった2点目も同サイドのクロスからだった。
山口は、「分かっていたけど、対処できなかった」という。
「もっとセンターバック、サイドバック、ボランチでコミュニケーションを取って動かしていかないと。ちょっと曖昧な部分が多かった。DFラインは経験が多い選手ばかりじゃないんで、そこは自分の経験を活かして次の試合に繋げていきたい」
ただ、山口の気遣いで解消できるレベル問題ではないだろう。前線に助っ人が偏るバランスの悪さを解消することが、まずは喫緊の課題と言える。