ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
フランクフルトの魔法は解けるのか。
ヨビッチ移籍で攻撃ユニット解体。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2019/06/18 11:45
フランクフルト躍進の立役者となった3人。ヨビッチ(8番)のマドリー移籍が決まり、攻撃陣の再編を余儀なくされる。
古巣ベンフィカ戦のゴールで大喜び。
ところがヨビッチが強靭なパーソナリティーを見せつける。レビッチが一瞬の隙を突いて作ったチャンスに反応し、盟友のパスを冷静にゴールに流し込んだのだ。只者ではないと感じさせたのは、ベンフィカが自身のレンタル元であったこと。
古巣からゴールを奪えば、大半の選手がゴールパフォーマンスを自重するものだが、ヨビッチは抱擁する仲間を振り払って「どうだ」と言わんばかりに敬礼ポーズを決めてみせた。
ELラウンド16ではサンシーロでインテルを沈める一撃を決め、同準決勝のチェルシー戦ではホームとアウェーで各1ゴール。付け加えるなら、セルビア代表での初ゴールは、初先発となった今年3月のドイツ戦で記録した。
劣勢でも数少ないチャンスをモノにできる集中力、舞台の大きさや対戦相手の格を問わずに真価を発揮するメンタルタフネスは特筆に値する。
新天地マドリーでは巨大な重圧が。
新天地のマドリーでは、これまでとは比較にならない巨大なプレッシャーに晒される。推定6000万ユーロという高額な移籍金が発生したことも、あるいは重圧になるかもしれない。ただ、ヨビッチがそうした環境にもすんなり適応できそうなメンタリティーを発揮してきたのは既述の通りだ。
ELでは95分に1点、リーグ3位タイの17ゴールを挙げたブンデスリーガでは132分に1点という驚異のペースでネットを揺らした。後者は得点王のロベルト・レバンドフスキ(135分に1点)より優れた数値だ。
バイエルンほどのチャンスメイク力を備えていないフランクフルトで、これだけ頻繁に目に見える結果を残すのは容易なことではない。
スペインの環境に適応できれば、ルカ・モドリッチやトニ・クロースら名パサーを擁するマドリーで、ヨビッチがさらなるゴール量産を見せても不思議ではないだろう。