太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
【NSBC第3期 スペシャルトーク】
太田雄貴×島田社長、特別対談後編。
革新を生むことでスポーツが変わる。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byMasao Kato/AFLO
posted2019/06/14 08:05
1万人以上の観客を横浜アリーナに集めた2018-19シーズンのBリーグファイナル。新時代のスポーツビジネスの筆頭格だ。
スケートとトライアスロンに学んで。
太田 いえいえ、私だけでは何も進められなかった、と思っています。私の右腕といいますか、右腕以上の辣腕を発揮してくれている宮脇信介専務理事の存在が非常に大きいです。手前味噌ですが、会長としての私の最も大きな功績は、宮脇さんを専務理事に選んだことです(笑)。宮脇さんをはじめとして、私は周りの方に非常に恵まれています。
島田 宮脇さんも、外部の人材ですか。
太田 フェンシングの関係者ではありましたが、長く金融系のお仕事をして、外資系資産運用会社で働いていた方です。ビジネスマンとして、大変合理的な意見を言ってくださるのでありがたいです。
島田 フェンシング協会の意思決定には、スピード感もありますよね。
太田 私が常日頃から意識してベンチマークしている人や組織が、おしなべてスピード感を持っていることが関係しているかもしれません。でも、2年前からじっくりじっくり取り組んできた案件もあります。
島田 特にいい事例だなと見ているのはどの組織ですか。
太田 実は……千葉ジェッツさんもベンチマークの1つに入っていました。あとは、全日本スキー連盟の皆川賢太郎常務理事もそうですし、競技団体としては日本スケート連盟と日本トライアスロン連合はかなり細かく分析しました。
たとえばフィギュアスケートは連盟の登録者数は少ないのですが、今、テレビ中継では最も視聴率がとれるスポーツです。一方、バスケットボールは競技人口では高校生で最も多く、登録者人口も協会ベースで約62万人いるけれど、視聴率はフィギュアには及びませんよね。競技人口とテレビの視聴者の因果関係はあまりない、ということなのでしょう。
スポーツで一番愛されているランニングも、箱根駅伝等は別としてそこまで高い数字ではありません。“見るスポーツ”と“Doスポーツ”の比率の目標値をどのあたりに置くべきなのか、協会登録者数の目標と、「見る化」の限界点を見極めながら協会が進む道を決めているところです。
メダリストという実績が説得力に。
島田 それにしても、この若さで協会のトップを務めるのは本当に大変なことだと思います。数あるスポーツ競技団体のトップとしては、ダントツの若さですよね。
太田 あくまでも個人的な感覚ですが、比較的若い方がその職に就くのがいいと感じています。自己保身ではなく、その業界をどうしていきたいかという情熱がトップに必要とされると思うのです。もちろんそういった情熱について、必ずしも年齢で区切るわけではないですが、割合的にそういったものは若い人の方が多いような気がします。
島田 Bリーグの社長の中だと私は年上の方になるのですが、30~40代の太田さん世代の方が多いと思いますしね。それに改革を行う場合、ある種の古き慣習を壊さなければならない面もありますから。
太田 唯一良かったなと感じているのは、私がオリンピックのフェンシング競技で日本人初のメダリストだったということです。これがいろいろ改革を進めていく上での説得力となりました。