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年俸が高騰してるのは一握りだけ?
Jが狙える「6億円級」のスターたち。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/30 11:30
今季からヴィッセル神戸に加入したセルジ・サンペール。彼らのような選手に適切な額のオファーを提示してJリーグに呼べるか。
大きかったイニエスタの存在。
それでもサンペールがJリーグに目を向けたのは、やはりイニエスタの存在が大きな理由だったでしょう。本人も口にしているように、ポドルスキやダビド・ビジャといった大物がチームにいることも背中を押しました。
サンペールのような、欧州トップリーグの若手選手のJリーグ加入は、これまでのような、ピークを過ぎたビッグネームの加入とは違う意味を持っていると感じます。理由はどうあれ、欧州の有望な若手が選ぶリーグとして認められつつあるという認識のうえで、戦略を練ることが重要だと思うのです。
たとえば、先に論じたとおり、30歳前後の脂の乗った年俸6~7億円クラスの、欧州で名の通った選手をJリーグの各クラブが積極的に獲得する。それによって、彼らと対戦したい(あるいは一緒にプレーしたい)という若手選手の勧誘を図る。
若手選手たちにしてみれば、実績ある選手とのマッチアップを見せることで、「Jリーグだから活躍できている」のではなく「これだけの選手とやりあえるだけのレベルにある」「そこまでのレベルに成長した」という姿を証明し、アピールすることができるようになります。そうして欧州のビッグクラブから高い評価を得られれば、Jリーグを通過点にして、欧州へと凱旋する道も開けてきます。
欧州の指導者も積極的に招聘すべき。
また、欧州の指導者も積極的に招聘するべきです。
欧州の主要リーグで監督経験などがある指導者がJリーグのクラブに存在することは、さまざまな効果を期待できます。
仮に前年までビッグクラブのコーチを務めていた人物がJリーグで監督になったとしましょう。ある選手は、監督が用いる戦術の中で機能することを証明しました。
そうなれば監督は自分の前任地のビッグクラブに、その選手を紹介するかもしれません。つまり指導者が日欧の架け橋としての役割を担うことで、欧州の若手選手たちにとっても、Jリーグが飛躍のチャンスをつかめる舞台になりうるのです。