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年俸が高騰してるのは一握りだけ?
Jが狙える「6億円級」のスターたち。
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![並木裕太](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/90/img_e04b11a70f37a5ebfe8f756b8475e70c11143.jpg)
並木裕太Yuta Namiki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/30 11:30
![年俸が高騰してるのは一握りだけ?Jが狙える「6億円級」のスターたち。<Number Web> photograph by J.LEAGUE](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/700/img_01320e2c35ecd524a6a0da2fcf1497ff150322.jpg)
今季からヴィッセル神戸に加入したセルジ・サンペール。彼らのような選手に適切な額のオファーを提示してJリーグに呼べるか。
Jでもボヌッチ、チチャリートなら手が届く?
一方で、増加したJリーグの放映権料は、各クラブに配分金として渡ります。
J1のクラブには、均等分配金として一律3.5億円。賞金として、年間順位が1位なら3億円、2位には1.2億円、3位には6000万円。さらに理念強化配分金として、上位クラブには複数年にわたってかなり大きな額が支払われます(2017年の1位・川崎フロンターレには、3年間で計15.5億円)。
各クラブは、JリーグとDAZNとの10年間の放映権契約(2017~2026年)が更新の時期を迎える7年後を見据え、Jリーグの魅力アップを意識した活用法を検討するべきです。
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特に理念強化配分金を手にするクラブには、既存のJリーグファンの満足度向上はもとより、海外サッカーしか見ない人、日本代表戦しか見ない人、サッカーにあまり興味がない人たちがJリーグを見たくなるような施策にお金を活用してほしいと切に願います。
その1つの手段として、資金を投じて獲得すべき選手が前述のリストの中にいるとしたら――。移籍金が高く設定される若手よりも、30代の選手(マッツ・フンメルスや“チチャリート”ことハビエル・エルナンデス、レオナルド・ボヌッチ、ディエゴ・ゴディンなどのクラスの選手)のほうが、Jクラブの資金で移籍を実現させられる可能性は高いのかもしれません。
とはいえ、移籍は、リーグとクラブの意思やお金だけで成立するものではありません。選手自身がその気になれるか、Jリーグに行く意義や理由を見出せるかどうかが、非常に大きなカギになります。
セルジ・サンペール加入にヒントが。
その点に関しては、今年3月に神戸に加入したセルジ・サンペールがヒントを与えてくれています。
サンペールは、幼いころからバルセロナで育成され、各年代のスペイン代表にも選出されてきた有望株の24歳。しかし、バルサのトップチームではなかなか出番を得られずBチームに籍を置き、神戸加入前はリーガの下位チームにレンタルされてくすぶっていました。
その彼が次の行き先を考える時、数年前ならばJリーグという選択肢はなかったはずです。バルサのBチームに残って昇格の時を待つか、あるいは出場機会を求めてベルギーやオランダなどのリーグに移っていたかもしれません。
特に若い選手の場合、欧州から遠く離れたJリーグに行くことには、その先のキャリアを思い描きにくいという難点がありました。欧州におけるプレゼンスはどうしても低くなり、仮にJリーグで活躍したとしても、それが本人の成長によるものなのか、リーグのレベルによるものなのか、評価しづらいという面もあります。