プレミアリーグの時間BACK NUMBER
国内3冠マンCはもっと強くなる?
強敵リバプールの出現は大歓迎。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/26 11:30
優勝パレードに沸く数多くのファン。“マンチェスターの強い方”は今や、シティとなっている。
驚異のハイラインとGKエデルソン。
イングランドでは、今季もポゼッションサッカーのトレンドが強まる傾向が見られた。全20チームのうちボール支配にこだわらなかったのは、トップ10内ではジョゼ・モウリーニョが指揮を執っていた昨年12月までのマンUぐらい。
中位以下でもアンチ・ポゼッションのチームはクリスタルパレス、ニューカッスル、バーンリー、ブライトン、そしてカーディフと決して多くない。
そんなリーグにあり、ボールを持って攻め続けるスタイルの完成度で頭抜けているのが、グアルディオラ就任3年目のマンCである。ワトフォードとの決勝でも、慎重策を採ったワトフォードが反撃を意識せざるを得なかった後半も含め、70%のボール支配率を誇った。
マンCの選手は個々のテクニックはもちろん、ハードワークもトップレベルにある。ウェンブリーのピッチでは、最前線のガブリエル・ジェズスからしてボール奪取の意欲を体現していた。移籍3年目のブラジル代表ストライカーは執拗な姿勢でボールを奪い返し、2得点1アシストの活躍を見せた。
高い位置でポゼッションを実現するための前提となるハイラインは、GKのエデルソンからして徹底している。ワトフォードがカウンターで先制のチャンスを掴んだ11分、果敢に距離を詰めてロベルト・ペレイラのシュートを防いだセーブも見事だったが、その15分後、ゴールマウスから30m離れた位置で、当たり前のように相手ロングボールをヘディングで味方につないだプレーは圧巻だった。
誰もがゴールを奪えるという強み。
マンCは、得点意欲もプレミア随一である。ワトフォードを一方的に攻めた前半に2点のリードを奪えば、後半は優勝へと無難な試合運びを意識しても不思議ではない。
ところが、後半に4点を追加したのである。最たる例が試合終了3分前のゴールだ。ラヒーム・スターリングが放ったシュートは相手GKが触れてファーポストを叩いたが、そのリバウンドを押し込み、FAカップ決勝では116年ぶりとなる6-0の勝利が記録されたのだから。
時間帯を問わない「攻撃力」とビルドアップに見られる高度な「技術」、ゴールへの「ハングリー精神」という三拍子が揃った6点目は、マンCならではと言うべき、駄目押しを超えた駄目押し点だった。
決勝の得点者は2ゴールずつを決めたジェズスとスターリングの両FW、ダビド・シルバとケビン・デブライネの両MFの4名。得点源の多さもマンCの勝因の1つだ。