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国内3冠マンCはもっと強くなる?
強敵リバプールの出現は大歓迎。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto Press

posted2019/05/26 11:30

国内3冠マンCはもっと強くなる?強敵リバプールの出現は大歓迎。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

優勝パレードに沸く数多くのファン。“マンチェスターの強い方”は今や、シティとなっている。

世代交代も着々と進んでいる。

 3冠達成を懸けたこの日、30歳の今季もチーム得点王に輝いたセルヒオ・アグエロは、ベンチから出ることはなかった。また、昨季アシスト王のデブライネは途中出場。今季は怪我の影響からリーグ戦19試合出場と不本意なシーズンとなったデブライネだが、彼の不在を感じさせないほど選手層が厚かった。

 ベルナルド・シウバは、世代交代の不安がないことを示す1人だ。オイルマネー注入で強豪と化したマンC中盤のキーマンと言えば、加入9年目のダビド・シルバだった。

 33歳のパス名人は自身2度目のFAカップ獲得となった今季の決勝でも、10点満点で7、8点は与えられる貢献度を示した。そのシルバが26分に決めた先制のチャンスを創り出し、81分にスターリングの1点目をアシストしたシウバは9点が妥当。移籍2年目の24歳は、偉大な先輩MFを凌ぐ評価を集めつつある。

 同じことは、24歳のアイメリック・ラポルテにも言える。最終ラインの主軸として初めてフルシーズンを過ごした一方で、FAカップ決勝翌日にはバンサン・コンパニの退団が発表された。11年に及んだ在籍中にチームとともに自らも世界トップクラスへ変身し、レジェンドとしての地位まで築いた男が移籍を決意するのは、簡単ではなかっただろう。

 しかし、ラストゲームのピッチでコンビを組んだラポルテは、今季コンパニの2倍に当たる計50試合に出場した。それもあってコンパニは、祖国ベルギーの「心のクラブ」でもあるアンデルレヒトで、選手兼監督を務めるという決断の「一助」となったに違いない。

大勝後でも選手に指導するペップ。

 ワトフォード戦でピッチに立ったマンCの選手のうち、コンパニとシルバの両ベテランを除く計12名の平均年齢は24.9歳。プレミアの「グレーテスト」と言われるようになったチームは伸びしろも備えている。

 チームを率いるグアルディオラは成長と進化を促す監督としても現役最高レベル。FAカップ決勝後のシーンを見れば一目瞭然だ。

 優勝セレモニー後にも、ジェスチャーを交えながらスターリングに助言を与えていた。事後の説明によれば、いわく「前半のプレーに改善の余地があった」とのこと。

 スターリングはシウバ、ジェズスと並んでMVP級の活躍を見せた1人。そんなFAカップ優勝の立役者に対しても、その場で指導を行なわずにはいられない。そんなペップの意欲に対しては、中継したBBCテレビで進行役を務めたガリー・リネカーが、「あの様子では明日もチーム練習がありそうだ(笑)」とのジョークを交えて感服の意を示したほどだ。

 グアルディオラは「先制されていたら違った展開もあり得ただろう」と、ワトフォードを称えてもいる。だがこれは、対戦相手への礼を忘れない道徳心が言わせた一言だろう。前述した11分の絶好機をペレイラがものにしていても、残る約80分間でマンCが勝利を引き寄せていたと思われる。両チームには、その程度の実力差が存在した。

【次ページ】 マンUも強敵出現で強くなった。

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