プレミアリーグの時間BACK NUMBER
国内3冠マンCはもっと強くなる?
強敵リバプールの出現は大歓迎。
posted2019/05/26 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Uniphoto Press
イングランド国内の今季タイトル争いは、5月18日のFAカップ決勝(ワトフォードに6-0の大勝)をもって、マンチェスター・シティの独り勝ちで幕を閉じた。前週に決めたプレミアリーグ連覇と、今年2月に決勝が行なわれたリーグカップを合わせた国内3冠は、「サッカーの母国」でも史上初の偉業だ。
厳密に言えば、女子サッカー界のアーセナルを除いて、の話ではあるが。
マンCのペップ・グアルディオラ監督の発言、国内報道も「メンズの世界では」と言及された事実は、女子もプロ化された時代の流れを感じさせる。だが、その事実以上に「マンC時代」の到来を改めて痛感させる、国内タイトル総ナメとなった。
マンCの牙城が築かれた、とまで言うつもりはない。期待された“四冠”の可能性は、トッテナムとのCL準々決勝で消滅したのだから。
また国内の戦いも簡単だったわけではない。3位チェルシーとのリーグカップ決勝はPK戦による決着だった。最も重きを置いているプレミアリーグ戦の優勝争いは、1敗で戦いを終えたリバプールを相手に、わずか1ポイント差。デッドヒートが最終節まで続いた。
「プレミア史上最高チーム」との声。
しかしながら、イングランドの現リーダー格はマンCを置いて他にはいない。リーグ3位以下を25ポイント以上も引き離し、リバプールとの直接対決でも1勝1分け。そのリバプールのユルゲン・クロップ監督に「この国で優勝争いに勝つには完璧に近い出来が要求される」と言わしめたのだから。
リーグ優勝を決めた最終節のブライトン戦(4-1)のように、リードを奪われても最終的に順当勝ちを収める安定感は、長らくプレミアの旗頭だったマンチェスター・ユナイテッドを思わせる。
しかも、14連勝でフィニッシュ。負け知らずのままプレミア王者となった2003-04シーズンのアーセナルでさえ、それほど長く白星を並べることはできなかった。
2004-05シーズンから新興勢力チェルシーがプレミア連覇を成し遂げたが、2シーズン合計で133得点だったチェルシーに対し、マンCは昨季と合わせて201得点と迫力が違う。
FAカップ決勝での戦いぶりを見て、往年の名手アラン・シアラーは「プレミア史上最高のチーム」と賛辞を送った。決勝での6-0は、マンCの実力と魅力が集約されたような圧勝劇だった。