草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
セ・パともにホームランが急増中!
理由はボールか、それとも技術の向上か。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/05/09 11:30
5月8日現在、セ・リーグは12本塁打の巨人・坂本勇人が、パ・リーグは昨季の本塁打王の西武・山川穂高とロッテ・レアードが13本でトップ。
気候や製造時期の影響はほぼない。
<春先乾燥説>
多湿の夏場になれば、ボールの重さもわずかだが変わり、飛ばなくなる。つまり、本塁打増は一時的な現象に過ぎないという説だ。先のミズノ社員はこれも否定する。
「ご承知のように製造されたボールは表面に蝋を塗り、銀紙で包み、ビニールでパッキングされるんです。そこから取り出されるのは試合当日。湿度の影響を受けることはまず考えられません」
<新品説>
シーズン当初のため、工場で製造された「一番搾り」のようなボールを使っている。だから今は反発係数が少し高いのでは……。またまたミズノ社員が首を横に振る。
「これはNPBとの契約事項ですので詳しくは申し上げられませんが、中国の工場で作られたボールは、国内にある弊社の、とある巨大倉庫に備蓄されているんです。これは何があってもボールが足りないなどという事態を招かないためのNPBとの契約事項でもあります。そこは温度、湿度とも徹底管理されており、それこそ何千ダース単位で保管されているんです」
気候や製造時期がボールに及ぼす影響は、ほぼ考えられないということだ。くわえて言うならば、突然、仕様変更をNPBに伝えられたら、ミズノはこの倉庫の在庫品をすべて抱えなければならなくなる。しっかりした契約を交わしていれば、準備期間を経た上で変更するだろうし、6年前の反省があれば12球団の担当者に了解を求めることだろう。
球場が変わったのはロッテ本拠地だけ。
<パークファクター説>
今シーズン、本塁打にまつわる部分で球場の仕様が変わったのはZOZOマリンスタジアムだ。「ホームランラグーン」が新設され、本塁打が増える環境になった。昨シーズンは70試合で86本塁打と決してバッターズパークではなかった同球場で、今シーズンは15試合戦い、早くも33本塁打が乱れ飛んでいる。前年同試合消化時点では19本だから、少なくともパ・リーグの増加部分に大きく寄与しているのは間違いない。
しかし、パ以上に増えているセに関しては全く理由とはならない。