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佐々木朗希の163kmは朗報か、警鐘か。
135kmで故障率2.5倍というデータも。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2019/05/02 08:00

佐々木朗希の163kmは朗報か、警鐘か。135kmで故障率2.5倍というデータも。<Number Web> photograph by Kyodo News

ここから夏まで、大船渡・佐々木朗希は常に異様なムードの中で投げることになる。どうか流されず自分の体を気遣ってほしい。

大谷が靭帯を損傷した事実をどう考えるか。

 一方で気になるのが、その大谷が右ひじ靭帯を損傷し、トミー・ジョン手術を余儀なくされた事実だ。

 昨今、ひじの靭帯を損傷して手術に至るケースは日米を問わず多い。アメリカでは、スティーブン・ストラスバーグをはじめ、カルロス・カラスコ、ジェイコブ・デグロム。往年のレジェンドではジョン・スモルツ、イチローのライバルとして有名なティム・ハドソンなど多くの投手がこの手術を選んでいる。

 日本人選手も松坂大輔をはじめ、藤川球児、和田毅、ダルビッシュ有、そして大谷翔平が同じ道をたどった。手術は回避したものの、田中将大も靭帯を部分断裂していている。

 国内でも、吉見一起(中日)や館山昌平(ヤクルト)、若い世代では先日2年ぶりの勝利を挙げた釜田佳直(楽天)、ロッテの有望株として先発ローテを任されている岩下大輝がプロ入り後すぐにこの手術を受けている。

靭帯損傷にいたる4つの要素。

 少し過去の話になるが、田中将大が2014年に靭帯を部分断裂した際、メジャーリーグ雑誌『slugger』で、出野哲也氏が靭帯損傷の要因をリポートしていた。

 この際、氏があげたのは主に4つの要素だ。

1.少年時代からの酷使
2.球速へのこだわり
3.スプリッターなどの影響
4.投球フォーム

 それぞれの要素の大小はわからないが、どれも靭帯への負荷に影響することは間違いないだろう。

 先日、日本におけるトミー・ジョン手術の執刀医としてもしられる慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三先生の講演を聞く機会に恵まれた。

「医療側から見たこれからの日本野球」と題された古島氏の講義では、まだ幼い野球少年たちの間でどれほどの怪我が蔓延しているかの報告や、その要因などを詳しく解説。実際に、肘の軟骨の画像やトミー・ジョン手術の様子の動画などが紹介され、衝撃的かつ内容の濃い講演だった。

【次ページ】 球が速い投手ほど、配慮が必要になる。

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