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結局、Jとブンデスは何が違うのか。
伝統、野心、ジェンダーまで影響?
posted2019/05/03 17:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
AFLO
6年前のドイツでは、買い物時のマイバッグ持参は、すでに常識だった。日本でも最近はレジ袋が有料の店が増えるなど、プラスチックごみ削減の動きが急速に進んでいる。
さらに一歩進んでいるのが、現在のドイツだ。マイバッグがない場合、有料にて供されるのは紙袋。ビニール袋そのものが、ほぼ姿を消しかけている。
数年後、日本が同じ状況になっているかは分からない。だが、ここまでの環境保護の動きでは、少し遅れてドイツの後を追っている。
では、サッカーはどうだろうか。
一時期は落ち込んだブンデスリーガも、ドルトムントやバイエルンを先導役に、今では欧州で最多のファンを動員する。Jリーグもここ数年、観客数は増加傾向にある。今季ここまでのJ1の1試合平均入場者数も、ほぼすべてのクラブで昨年よりも増えている。降って湧いた巨額の放映権料も、リーグの変化に大きく影響している。
だが、日本は本当に「本場」に近づいているのか。その差は、表面よりも土台にうかがえるように思う。
ユニフォームを纏って、ビールを片手に。
ドルトムントから、電車で10分ほど。こぢんまりした街をホームとするのが、VfLボーフムだ。小野伸二や鄭大世など、4人のJリーグ経験者がプレーしたクラブでもある。1部リーグで1ケタ順位につけたこともあるが、ここ10シーズンは2部リーグを戦う。
3月のドイツは、まだ寒かった。それでも、金曜のボーフムの“熱”は高かった。昨年から日本でも始まった金曜開催のナイトゲームでは、キックオフが19時半になることもある。この日のボーフムの試合(第25節)は、18時半開始だった。
ファンに優しい時間設定かは分からない。それでも16時過ぎの駅前には、青いユニフォームがちらほらと見受けられた。その足はバスなど使わず、こぎれいな大通りを進んでいく。
駅から徒歩約25分。まだ日が残る17時過ぎのスタジアム周辺は、すでにクラブカラーで染まっていた。もちろん、手にはビールが握られている。