ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
GK大国ドイツが抱える後継者問題。
ノイアーの後釜はニュベルだけか?
posted2019/05/04 10:00
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
Getty Images
そう遠くない将来、ドイツがワールドクラスのGK不在という問題に直面するかもしれない。よりによってドイツが? そう首を傾げる読者が大半だろう。
周知の通り、ドイツには連綿と連なる名GKの系譜がある。ゼップ・マイヤー、ハラルト・シューマッハー、ボド・イルクナー、アンドレアス・ケプケ、オリバー・カーンは、いずれも現役時代に世界ないしはヨーロッパを代表する名手として名を馳せた。
彼らの後継者であるマヌエル・ノイアーやマルク・アンドレ・テア・シュテゲンも正真正銘のワールドクラスである。
問題は1992年生まれのテア・シュテゲンより下の世代に「超」が付くほどの有望株が“1人”しか見当たらないことだ。
'93年生まれのティモ・ホルンと'94年生まれのユリアン・ポラースベックは10代の頃から将来を嘱望されてきたが、ともに2部所属(前者がケルン、後者がハンブルガーSV)で、チャンピオンズリーグなどハイレベルな舞台での経験が不足する。これから同世代のテア・シュテゲンを蹴落とすほどの急成長に期待するのは酷だろう。
シャルケのニュベルは別格の存在。
'95年生まれの代表格は、かつてシャルケのゴールマウスを預かったティモン・ベレンロイター(現ヴィレムII)とニュルンベルクの守護神ファビアン・ブレッドロウ。
お世辞にもノイアー、テア・シュテゲン級とは言い難く、ベルント・レノ(アーセナル)やロン・ロベルト・ツィーラー(シュツットガルト)、ケビン・トラップ(フランクフルト)あたりと比較できるタレントでもない。キャリアの最高到達点は中堅クラブの正GKが関の山か。
さらに下の世代に目を向けると、前述の“1人”がようやく登場する。シャルケのアレクサンダー・ニュベルだ。今年1月に主将の実力者ラルフ・フェールマンから定位置を奪った'96年生まれの逸材で、チームの低迷に鬱憤を募らせるシャルカー(シャルケの熱狂的なファン)たちにとって、ほぼ唯一と言える希望になっている。なにしろ一部のファンから「選手は全員出ていけ! ただし、ニュベル以外だ」との声が上がっているほどだ。